短編 壱

□トリップ用務員主
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ずっと弱い


つい昨日のこと。
学園に侵入者が入った。たまたま居たらしいタソガレドキの忍者が仕留めたらしいけど、侵入者によって傷付けられた怪我人がひとりいる。

それが僕。



「……ドジかよ……」


治療をしてくれると名乗り出てくれた6年の……、善法寺くん?には悪いけれど包帯と消毒液だけ貰って自分で処理をした。

かなり血も出てたらしくて熱も出たけど我慢出来ないほどじゃない。ただの事務員でしかも住み込みで働かせて貰ってるのに自分のドジのせいで生徒さんに無駄な労力は使わせたくない。



「次は作法委員会に書類…」


何だか少しグラつく身体が妙に鬱陶しくて殻を破るみたいに無理矢理動かす。












作法委員会の部屋の前、扉に手を掛けた途端内側からそれが開いた。


「「うわっ、」」


ドテン――、


僕はまたドジにも転んでしまってぼんやりとする視界の中、前を見た。

「ごめんなさい、ちゃんと確認してなくて…!」

「あぁ、いや…こちらこそ」




「どうした、綾部」

「事務員の方とぶつかりそうになっちゃって…大丈夫ですかー?」


「事務員……、ナナシさん」


「えっと、仙蔵くん……?」



「…………」


わざわざ立ち上がって僕の前に来た仙蔵君は何やら不機嫌そうに顔を歪めて僕の額に自分の額をくっつけた。




「ナナシさん、酷い熱。
保健室に行きましょう。綾部、悪いがココは任せたぞ」

「はーい」


「え、いや……ちょ、……ぅあ!」



尻餅をついていた状態で突然抱きかかえられて仙蔵君の胸に身体を寄せる形となった。
申し訳ないのにふわふわと身体が浮いてるみたいに…


「……全く伊作は何をしてるんだ」


そう仙蔵君が呟くのが聞こえたけど僕はそれに応える事も出来ずふわりと目を閉じてしまった。





End
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