海賊 2

□弐:白ひげ海賊団
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「オヤジがアンタに礼を言いたいってよい。明日の夜にでも港に着く。会ってくれよい」



リトはそう言って頭を下げたマルコにコクリと頷いた。
『筋書き』通りに『好きなキャラ』だったエースが死ぬのが堪らなくてあの場に邪魔しただけなのにお礼を言われる、とは何故なのかリトにはよく分からなかった。
しかし何処か必死なマルコに肯定の返事をやるしかなかった。

森を抜ければ住民達に
『無事だったのね』『良かったな!』等と言われたが当の本人は首を傾げるばかりだった。


シロはリトの首から腕に、手首に移動してまるでリストバンドの様に巻きついた。
管狐の姿をしたシロは人間と意思疎通が出来ない。しかしリトはシロが巻き付いた手首を太陽に掲げてそれを眩しそうに見つめた。




















「っらァ!!」

「くっそ! 避けんなッ……!」


いや、避けるだろう。
白ひげ海賊団の甲板の上、リトは繰り出される攻撃を回避していた。
リトの手には武器は無く、避けるしか術はないかと思われている、が……。


《小僧共が。寄って集ってずる賢いな》


シロの吹いた炎がリトに攻撃を仕掛けようとした白ひげクルー達を牽制する。
リトはそれでも臆せず向かってきたクルー達をその細い腕から何処から力が出るのかと言う程にちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返す。

そうして隊長格以外のクルー達がほぼ全員甲板に伏せった所でずっとそれを眺めていた白ひげが『グララララ!』と豪快に笑った。



「強いなァ、小僧! 流石あの犬とやり合っただけはある」

リトは眩しそうに白ひげを見つめるがそれだけ。特にアクションを起こす気のない青年に何人かの隊長は興味を持った。
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