海賊 2

□弐:白ひげ海賊団
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朝になり、木々が生い茂るとはいえ隙間から入る太陽の光に眉を寄せ目を覚ましたリトは自分が大きな岩の陰で眠っているのに気付いた。

きっとシロが毛布も掛けてくれたのだろうと姿の見えぬ相棒に感謝した。


足の骨が折れているリトだったがどうにか岩に手を付き、立ち上がった。無意識に曲げようとする度に激痛が走るがリトはそれでも声一つ上げなかった。


獣の気配すらない此処は異様に静かで、しかし遠くでは鳥が朝を告げ鳴いている。
不意にガサガサと茂みが動き、奥から白狐が現れる。




《何だ、起きていたのか。足は平気か》



痛み以外は感じないのでコクリと頷くとシロはハァとため息を吐く。


《足が折れておるのに平気なわけがあるか。何故そうして頷くのだ阿呆め》



……平気ではないと知っているのになぜ聞いたのだろう。シロはたまにこうして既に答えがわかっている質問をリトにする。
真意は分からないが、今まで正解だった答えにありつけた事の無いリトは何処か釈然としない様子だった。

















シロが狩ってきた獲物を焼いて食べ、また少し眠くなったリトだったが何かの気配を感じてくいっ、と空を仰ぎ見る。
木々の隙間から見える青い鳥。


―――不死鳥


気配に気付いているはずなのに何の警戒もしないシロにリトは知っていたな、と目線を寄越すが彼は素知らぬ顔で顔を前足で洗っている

リトはフードを深く被ると鞄の中にある折り畳み式の何かを取り出す。パキパキと音を立てて広げると、それは立派な大鎌になった。

そうして【名無しのお尋ね者】が出来上がったところで不死鳥がリトの前に降り立った。
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