海賊 2

□壱:名無しのお尋ね者
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マルコが陸に羽を休めたのは丁度太陽が沈んだ頃だった。自分達のナワバリに海賊達が居ると連絡を受け、取り敢えずマルコだけ“飛んで”来たのだ。


住民達の話によるとどうやらマルコの弟分で数ヶ月前に処刑されるはずだったエースを助けた【名無しのお尋ね者】が海賊に追われ、未開拓の森へ逃げていったのだという。


白ひげ曰く『命の恩人』は丁重に扱え、と行きたいと駄々を捏ねるエースを押さえ付けてマルコだけ行かせたのだった。

自らの身体をソレへと変え、グンっと大きく羽ばたく。暗くて探しにくくなった森を上から見ると、一層暗くなっているそこがほんのり光っている。
あれはカンテラの光だ。

マルコは木々の隙間を潜って地上に降り立った。














シロはウトウトと眠りについてしまったリトを岩陰に横たわらせ、鞄から毛布を取り出し掛けてやった。

そうして鞄からカンテラを取り出し、ぼぅ、と口から炎を出して灯らせた。



9本ある尻尾をゆらゆらと揺らせばカンテラの灯が影を作りそれも揺れる。
暫くしてシロも大欠伸をして眠りにつこうとするが何かの気配を感じて起き上がって戦闘態勢を取る。

相手の気配がする方向は丁度リトが眠っている岩陰とは真逆。
疲れているであろう相棒を起こさぬ様にゆっくりとそちらに足を進めようとしたその時────、




「別に取って食おうなんて思ってねぇよい。
そう、警戒すんなよい」



こんな不気味な森の中、いきなり軽装で現れた男に警戒するなというのが無理な話である。
ガルルル、と唸れば相手は頭を掻いて『困ったねい』と苦笑いした。

シロも彼の事はよく知っていた。
手配書もリトと共に見たし、あの戦争でも海軍大将、黄猿と戦っているのを見たからだ。

彼の名はマルコ。白ひげ海賊団一番隊隊長であり、又の名を【不死鳥マルコ】

どうやらリトの身を案じた住民達が白ひげに事の詳細を知らせてしまったらしい。
厄介な事になった、とシロは取り敢えず目の前の鳥野郎にはお帰り頂くことにした。
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