短編V
□簡単な答
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「白森、また学校行かなかったの」
学校から帰った僕はすぐに幼馴染みである白森 拓都の家へ向かった。
コイツが学校に来なくなったのはいつからだったか。
いじめが酷くなった頃だろうか。
いじめって言っても机に落書きされる訳でもなくて水とか掛けられるわけでもなくて本当に地味な嫌がらせ程度のものばかり。
遠巻きに拓都を見たり、体育の授業でグループに入れなかったり、HRとかで話し合いに参加させなかったり。
拓都もそこまで自分を表現できる奴じゃなかったから先生も気付かなかったし、僕だって気付いたのは中2になってから。
拓都に問いただしたら小6からされてたみたいだから狡いやり方だと感じた。
それから2年経って、地元の高校に行くとそこでも拓都へのいじめが始まった。
……だから言ったんだ。
『学校休め』
って。
いや、言ったけどさ
「1年休めなんて言ってないからね」
「だって行かなくていいって言ったじゃん」
「おい、話盛らないでくれるかな」
拗ねたように言うのは布団の塊。否、布団に丸くなっている拓都。
「なにがそんなに嫌なの。あんなの嫌がらせ程度の馬鹿のやることじゃん」
「桐音には分かんないよ」
「大人数で1人ハブいてさ、何がしたいのか理解出来ないもん」
「そうやってして自分が俺より上であることが大事なんだよ。自分は俺より強いからって。人間そんなもんだよ」
「いじめられてヘニョヘニョになって泣き言言ってる奴が分かったような口きくなよ」
少しキツい口調で言うと黙ってしまった拓都。
あーもー、面倒臭いなぁ
「学校行くのが嫌なら行かなくていいと思うよ、それで将来バカで困るのはお前だし。僕は別にどうだっていいんだけどさ――」
――お前来ないとつまんないじゃん
End