短編V

□僕らのヒミツ
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「蘭馬くん、一緒に帰ろ?」

僕――矢代 蘭馬(やしろ らんま)の腕に引っ付いてくる香水キツイ女。
離せよ、匂い移るだろーが。


「ごめんね、今日は友達と帰るから」


『恋人』の間違いだけど。


「そっかぁ〜残念。また今度ね!」


一生帰ることねぇよブスが。







――図書室



そこから全力疾走で向かったのはうちの学校で利用するものがいないと言われる図書室。
でもここに僕の天使がいる。




ガララッ


日の当たりのいい一番奥の机。
そこに伏せて寝ているのは俺の恋人の石川 鄒(いしかわ すう)

うん、今日も可愛い。


「鄒、帰るよ」

「ん、……あれ、蘭ちゃんだ。もう終わったの」

目を擦りながら欠伸をする鄒は鼻血モノだ。


「あぁ、帰ろ」

「むぅ...コンポタ買って」

「しょうがねぇな」







放課後の僕らだけのヒミツ。
誰も知らない逢引は今日も夕日だけが覗いていた。



End

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