お題小説

□堅物で純真な彼のセリフ
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そういう意味で言ったのではない】×キミ色メール



うっかり口を滑らせるお話











「津雲、これ確認頼む」

「分かった」


会計以外の生徒会役員リコール。
生徒達の不平不満は募り、一部の親衛隊は解散、もしくは除隊。風紀にリコールの署名が寄せられた。
器物損壊や暴行、その他諸々の罪がある転校生を一先ず謹慎処分にし、厳重な見張りをつけ、寮外への立ち入りを禁じた。
それがキッカケだったらしく阿呆の様に文句を言ってきた大門以外の生徒会役員に生徒全員の署名を叩きつけ、リコールが成立した。


「……委員長、休憩はまだ先だぞ」

「疲れた」

「はあ……」


リコールするのも大変だが、リコール後もそれなりに忙しい。捌いても捌いても積み重なっていく書類の数に溜め込んでいた溜息を吐き出しそうになる。


「津雲〜、これ生徒会に届けてきてくれ」

「……持田(もちだ)、委員長を見張っていてくれ」

扉の近くにいた平委員に声を掛けて廊下へ出た。



────────・・・。




ガタガタガタ、ガシャーン!!


「大門、書類の追加だが……っと、大丈夫か」

「だ、いじょーぶ…」


扉を開けた先には椅子から転げ落ちたらしい大門がそこに居た。


「し、書類の追加ね〜。そこ置いといて〜」

「仕事は辛くないか?」

「ん〜、前よりはずっと楽だよ〜。ほら、仮に生徒会役員決まったっしょ〜。まだ正式に役員じゃないから特別免除とかは無いけどぉ、昼休みは手伝ってくれるから〜」

「そうか、良かったな」


前よりかはずっと顔色の良くなった大門に頬が緩む。仕事を手伝って一緒に食事を取って……。その日々が少し懐かしく感じた。

「津雲?」

「大門、辛くなったらいつでも頼ってくれ。今だって他の役員よりか都合がいいだろう。また食事もしたいし、同じ時間を過ごせれば嬉しい」





・・・・・・・・・・・・?


「……大門?」

「な、んか……プロポーズみたいだね」


少し停止したあと、俺は口元を抑える。
思い出せ、数秒前に話していた事を…!

前半はまだいい…! 後半俺は何と言った!?


「そ」

「そ?」

「そういう意味合いではない…! 悪いが、風紀の方も書類が溜まっているから失礼するっ!」

「あ、うん……またね〜・・・?」


不思議な様子の大門を避けるように生徒会室を出る。……、こういう時は仕事をするに限るな。

戻った先で委員長に顔が赤いと指摘される、とはまだ知らない俺は誰も居ない廊下を足早に進むのだった。





【そういう意味で言ったのではない】



End
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