お題小説
□真冬の恋7題
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【冷たい手でもいいよ】×虚像
添い寝に付き合うお話
軽く鼻歌を奏でながら廊下を歩けば先生おはようと小さい子が挨拶をしてくれる。・・・僕、先生ちゃうんやけど・・・まぁええか
最近めっきり寒くなってもうてお医者さんの話によれば拓夢君、前より塞ぎ込んでしもたらしい。
家族も面会に来やん言う話しやったし・・・ちょっと心配やなぁ・・・。
ガララ
「失礼しま・・・す〜?」
「あ、滝本先生。拓夢君、今眠ってしまって」
「あぁ、ほんまですか・・・んー、なら後は僕が見ときますわ」
看護師は礼を言って病室を出ていく。
・・・だから僕、先生ちゃうんやって。
今更訂正する気は無いんやけど・・・。
「ん、」
「・・・起きてしもうた?」
「・・・ぁ、さん・・・」
・・・お母さんでも無いんやけど・・・。
寝惚けてるみたいやし、大丈夫やろ。
「・・・ぁ、さん、て・・・」
「手? 手は冷たいで?」
「・・・それで、い・・・」
ほんまは会いたいんやろうけど、甘えたあかんと思うとんのかな。それやったらたとえ偽モンでも手くらい握ったんで。
そうやって僕が手を握った後、眠ってしもた拓夢君は何だか良い表情をしていた。
【冷たい手でもいいよ】
End