お題小説

□真冬の恋7題
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初雪が降るまでに】×そばにいるから



窓の外を見て雪を楽しみにするお話










「ねぇ、徹」
「ん?」


季節は冬。今年は随分と寒いらしい。
初雪は例年より早いかもしれないと天気予報で言っていた。

俺の恋人、心はずっと窓に張り付いて毎日毎日、雪を楽しみしている。


「てるてる坊主、逆さまにしたら雪降ると思う?」


「……」


コイツは何でこんなに楽しみにしてるんだろうか。滅多に外に出なくて夏なんて動きたくないと西瓜で釣らないと部屋から出てこなかったというのに。

こんなに雪好きだったか?







「なぁ、心」
「ん?」



「何でそんなに雪楽しみなんだよ」


恋人の関心が俺じゃなく、雪に向いている事にちょっと拗ねつつもそう聞くと心はパチリと瞬きをしてからこう言った。






「雪って、徹みたいで綺麗だから」







思わず抱き締めてしまったのは不可抗力だ。
初雪が降ったら嫌がってでも外に連れ出してやろう。密かにそんな事を思いながら未だ窓の外を見つめて雪を待っている恋人にそっとキスをしたのだった。





【初雪が降るまでに】



End
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