お題小説
□豹変した年下の彼のセリフ
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【すみません、俺あきらめ悪いんです】×取れかけたボタン
一番弟子になると宣言するお話
「にぃさぁああん!」
また来た・・・。
うんざりした様子で炭酸飲料を呷ったのは白楽さん。そしてその白楽さんに抱き着こうとして叩き落とされたのが中瀬だ。
新人であり、下っ端である中瀬だが、喧嘩の腕は良い。まだ粗削りな所があるし、一人で場を任せられるかと問われれば答えは否。
だが、まぁ・・・。
「うるさい」
「すいません、にぃさん! で、考えてくれましたか!? 例の件!」
「お前はいちいち大声出さないと生きれないの? 却下だよ、却下」
幹部だけが座る事の出来るソファーに座る白楽さんは優雅で妖艶だ。そんな雰囲気にも臆せず、中瀬は少し抑えた声で言った。
「俺を弟子にしてくださいって言ったじゃないですか」
いやいやいやいや・・・。
そりゃあ無理でしょ。
とまぁ、俺達組員の声が一致した所で白楽さんが席を立つ。どうやら弥夜さんを連れて見回りに出掛けるらしい。
「お前もしつこいね、何言われたって弟子なんかとらないよ」
「すいません、にぃさん。
俺、諦め悪いんで」
・・・・・・。
何だ、良い眼をするじゃないか。
白楽さんは興味をなくしたようで弥夜さんと出て行ってしまったが中瀬は一人で組の部屋に入って行った。
・・・何やら視界の隅で賭け事をしている奴らはアイツの真剣さに免じて後でシメることにしよう。
【すいません、俺あきらめ悪いんです】
End