お題小説

□豹変した年下の彼のセリフ
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先輩のこと好きになったみたいです】×静かな勉強会



プリントを介して告白する話




「先輩、ここ分かりません」

「……この公式の応用」



テストを明日に控えた今日の午後。
ラストスパートをかけるために誰もいない先輩の教室で勉強を教えて貰っていた。


僕はおかしい。

いや、頭がって意味ではなく。


半端なく先輩に対しての態度がおかしい。


自分でも気付いてるし。もしかしたら先輩を傷付けているかもしれない。

だから息抜きに少し考えてみたんだけど。



「……解けた?」



どうやら僕は



「はぃ……」



この先輩に恋をしているらしいのだ。








プルルルルル


静かな教室響いた機械音は先輩のらしい。

「ごめん、ちょっと話してくるから待ってて」


携帯を手に先輩は教室を出ていってしまう。
あぁ、格好良いなぁ……なんて。



ふと、

ペンを持ってプリントの端に書くのは『すきです』の文字。

……おい、僕。
何やってんだ。
女子か。恋愛ドラマか。

痛い。痛すぎるぞ僕。







「何が『すきです』なの」

「ひょわぁあ!!」



いつの間にやら帰ってきていた先輩が僕の書いた『すきです』を指でなぞった。

「ぁ……」




「姉貴が帰って来いって五月蝿いから今日はここまで。最後まで勉強漬けでもダメだから。……あと、ここまでは合ってるから。…………」


すると先輩は持っていた赤ペンをクイッと動かしてそこに置いた。


「え」


「じゃあ、気を付けて帰んなね」




「あ、あの先輩っ!」


そそくさと帰る先輩を引き止めるが言葉が出ない。

「いえ……何でもないです」

「じゃあ明日、頑張れよ」






先輩の去った教室には僕と赤ペンのサインが残ったプリント。

……こんなの聞けないよなぁ……



『おれも』


どういう意味ですか、なんて。





【先輩のこと好きになったみたいです】


End
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