お題小説
□無防備なきみに恋をする5題
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【無意識のゼロセンチ】×攻略成功
一緒にゲームするお話
「宗藍、これ何?」
「武器屋行ったら武器強化石と交換してもらえる」
「ほーん」
休日。
相変わらず喧嘩三昧な剣斗だったがチームの人達に働き過ぎだと文句を言われて渋々留守を任せてきたのだとか。
さっきチームの副リーダーさんからのメールで『存分に楽しんで下さい』なんて言われてしまった訳だが。
「なぁ、これは?」
「それはギルド戦で使うやつ。要らないなら売ってもいいよ」
「ほー」
存分に楽しんで、とか言われても俺がすることと言ったらゲーム。それ一択。
剣斗も俺のやるゲームに興味持ってたから新しいアカウント作ってもう一つのPCでやっている。
「剣斗、緊急クエストあるんだけど」
「お、やるやる!」
「ん、了解」
緊急クエストへの即席グループへ参加申請する。お、ぱんなこったさんいる。久々だな、仕事忙しいとか言ってたけど時間できたんだ、なんて思っていたらそのユーザーからメッセージが飛んでくる。
『らんぴよじゃーん、久しぶり〜』
『ぱんさん、社畜脱出?』
『うんにゃ、会社のトイレなう』
「ふっ……」
相変わらずらしいユーザーの返信に笑いが零れる。
「宗藍」
「ん? な、…にっ!?」
剣斗の方へ振り返れば思いの外近かった彼にぶつかる。二人の鼻先がコツンとゼロcmに。
え、キスでもします? 大歓迎ですけど。
「剣、斗……?」
「…………妬いた」
「……え、や、……え?」
謎の発言を聞き出そうとすればピロロンと音が鳴って緊急クエストの開始が告げられる。
首を傾げながらもレイドボスである巨大ゴーレムと戦う。
……良く分からないけどやはりブランクなのか早々に戦闘不能になったぱんなこったさんに剣斗が上機嫌になったのは何故だろうか。
まさかぱんなこったさんに『妬いた』?
え? うちの恋人可愛くない?
なんて考えつつも、俺は純粋にクエストを楽しむ剣斗の補助に回るのだった。
【無意識のゼロセンチ】
End