お題小説

□電話越しに彼のセリフ
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まだ、切りたくない】×浮気成敗


お茶会中に電話が来るお話












「隊長様ぁ〜♪ これ作ってみたんです〜良かったらどうぞ」

ふふ、なんて笑いながら手作りのスコーンを差し出す隊員。下手な女子より女子だ。
しかも超美味いんだよな…この前スコーンの作り方を調べるだけ調べたら結構力いるんだな、あれ…。そこは男子の力って感じがする。

「わあ、ありがとう! じゃあ紅茶でも淹れよっか。ちょっと前にいい茶葉を貰ったんだ」

「隊長様のお淹れになる紅茶っていつも美味しいですよね! 誰に頂いてるんですかぁ?」

綺麗なカップを用意し始めた隊員がそう聞いてきた。誰に、って……なぁ?

「知り合いから。実はその知り合いね、カフェをやってるの。美味しいって言ってたって伝えておくね」

きゃあ! なんてわきわきする見た目美少女の隊員達は軽く化粧までしている子までいる。さあて、話題でも提供す……

RRRRRRRRRRRRRR


「あれ、誰だろ。ごめん、ちょっと出てくるね」

「はあい、行ってらっしゃ〜い」


副隊長や隊員に見送られて席を立つ。
ったく、誰だよ。至福の時を邪魔しやがったのは……あ? 

[着信 山本さん]



………………………………。



チッ。

内心舌打ちをして誰にも聞かれないようにだいぶ離れてから電話に出る。


『……、』

「……んだよ」

『今いいか?』

「いいから出たんだろうが。何の用だよ、


会長さんよォ」


まんま『会長』で登録しようもんなら偶々端末の画面を見たやつに何か言われかねない。夜のお相手ですか、なんて言われた日には猫被りをやめそう。



『めげそう』

「頑張れよ、山本さん」

『旧姓で呼ぶな』

「あ、そういや紅茶の茶葉毎回どうもな。隊員達が美味しいって言ってた。良かったな」

『……そうか』

「何だ嬉しくなさそうだな」

『……風紀とぶつかった』

こりゃあ落ち込んでんなぁ…。
生徒会と風紀がぶつかるなんて今更だろうが。そもそも管轄が違うんだからそんなに落ち込む事は無いだろ。
少し馬鹿だが風紀の奴も仕事は出来る訳だし。過敏に反応してぎこちなくなるのも避けた方がいいだろうな。

「……あっちの主張も分かるんだろ」

『…そうだな、どちらの主張も正しい』

「なら話し合うべきだ。風紀も馬鹿じゃねぇ」

『…俺は「たいちょー! 電話まだー?」……して、茶会中か…?』

全然聞こえなかったし呼ばれたな…。
まだ立ち直れてないし…。

「ちょっと待ってね〜! 山本さん、まだ話したい事あるかなぁ?」

まぁ猫被ってるからって中身知ってるやつに改めて猫被るとこれ恥ずいな。


『……まだ、切りたくない』

ワ ガ マ マ 野 郎 …… 。

「そっか! ごめんね、斎藤くん。先に戻ってて!」

「はーい!」






『ごめん』

「謝るな、…んで。どうするべきだと思う?」



なんて。
俺様会長なんて囁かれている学園No.1は随分と弱気に話し始めたのだった。




【まだ、切りたくない】





End
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