お題小説

□指に触れる愛が5題
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唇に指を這わせ】×キミ色メール


眠る彼に悪戯するお話










ピ、と解錠して開けたドアは随分と重く、業者に頼んで直してもらおうと考えていた。

「お、イイトコに来たな津雲」

「委員長、足を机に乗せるな。で、何の用だ」

「これ、生徒会行き。お前に持たせた方が早ぇから」


欠伸をしながらそう言う風紀委員長に俺はため息をつく。此奴はいつもそうだ。委員長という立場にいるにも関わらずピアスとネックレスは常備しており、喧嘩は日常。
全く、風紀委員長として立場を理解して欲しいものだ。

いかん、話が逸れたな。


「書類を届けるついでに仕事を手伝ってきていいか?」

「ん〜? お前好きだね〜。まぁいいぜ、こっちは一段落してきたしな」


委員長の承諾を得て俺は風紀室を出ていく。
生徒会室は少し離れているが、授業中である為に廊下はとても静かだった。




ピ、と少し高めの解錠音を聞いてから扉を開けた。書類まみれの部屋に生徒会会計の大門が見当たらない。


「ん…、」


寝惚けた声が聞こえた。
どうやらソファーで眠っているらしい。

書類を紛れないように置いてからブランケットを手に取る。どうせまた10分寝るだけ、なんて言って暖かくもしてないのだろう。

そう思ってソファーを覗くと案の定丸まっている大門が魘されながら眠っていた。


「眠ってる時くらい仕事は忘れろ」


ブランケットを被せて空いているスペースに座った。仕事を手伝いたいがまずはこいつが安眠する事が第一だ。

「ん、か……ぃ、ちょ……」

「……戻ってくると信じて疑わないのは素晴らしいが、それがお前を苦しめているのは気に入らない」


どうせなら俺の名を紡げばいいものを。
大門の唇に指を這わせた。いつも手入れをしている唇とは違う、少しカサカサとした………………………………



俺は何をやっているんだ。
というより今何を考えていたんだ。

……仕事をしよう。
そうだ、大門が眠っている間に締切間近の仕事は終わらせてしまおう。
そうだ、それがいい。




仕事を始めた俺の横で大門はそれはそれは気持ち良さそうに眠っていた事に俺は気付かないままだった。







【唇に指を這わせ】




End
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