お題小説
□指に触れる愛が5題
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【指だけ、そっと】×そばにいるから
発作を起こした心に触れる徹のお話。
「少し安静にしておいた方がいいよ」
そう言ったカウンセラーの言葉に縦に頷いた。
心が発作を起こした。
カウンセラーが言うには“ちょっとだけ疲れちゃった”らしい。
コイツの1日は俺と始まって俺と終わるって言っても過言ではない。だから、今回の発作は俺が原因だと思ってる。
……だからといって俺にはどうすることも出来ないけれど。
「とおる……、さわって、」
カウンセラーが出ていって少しした後に聞こえた儚い声。
「いいのか?」
「とおるが、いい」
そう言いながらも震えてしまっている恋人の肩に少しため息を吐く。
無理しないで欲しいが、少しだけ、
つい、と指先を心の肩に置く。
びくり、と跳ねたその肩に驚き反射的に離してしまったがもう一度、
そっ、と撫でるように指先を。
それを2、3回繰り返して、
「徹、もっと、」
そう催促してくる心を無視してその指先をそっと背中に走らせる。
くん、と強ばった身体は俺が指を動かす度にぴくぴくと小さく跳ねる。
決していかがわしい事をしている訳では無いのに変な気分になってくるのはどうしてだろうか。
……心の感度がいいせいだと言うことにしておこう。
さて、
楽しそうに心の身体をなぞる指先が彼の声によって止まるまであと、数分──
【指だけ、そっと】
End