お題小説
□初々しい恋10題
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【その笑顔は反則だから】×最高の日
何気ない笑顔にキュンとくるお話
「豊さん、これどこ置いたらいいですか?」
「それは外の倉庫だね、数多いから無理っぽかったら呼んでな」
「はーい」
オーナーが帰ったあと。
裏でパソコン作業をしていた豊さんと片付けをしていた。細身の割に力のある豊さんは重いものをやってくれてるから数が多くても軽いものは俺がやらないと。
「……っしょ、」
あ、まじで数多いな。
というか最近豊さんが最後まで残るようになっても女の先輩方はそそくさと帰ってしまう……それどころか一人二人くらい辞めてしまったらしくて最近は忙しい。
「ふぅ……」
あと3つか。
と油断した途端だった。
カタ、
「あ、」
場所が無くて無理に置いていた備品が倒れてくる所が見えた。
ドサッ、
「……っぶね、」
「豊、さん……あざっす」
「『あ、』じゃないでしょ、避けなよ」
「すいません」
俺を抱き込んで片手で備品を支えてくれたのは豊さんだった。タイミングばっちり、ヒーローですか。
あまりに唐突で雑にお礼を言ってしまったので一旦離れよう。
「怪我してない?」
「はい、ありがとうございます!」
改めて礼をすれば豊さんは少しだけ備品を奥にやってから項垂れた。
「……? 豊さん」
「澄、それは反則」
「……???」
ほら、これ置いたら帰るよ。とため息をついた豊さんは残りの3つを重ねて俺に渡した。
笑顔でお礼は反則、っと。
……豊さんに関するメモがちょっとおかしな事になってるのは最早突っ込まない方がいいのだろうか。
【その笑顔は反則だから】
End