お題小説

□初々しい恋10題
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ずるいから好きです】×犬猿の仲にも恋心あり


廊下でばったり会う話








「あ、」

と気付いた先には恋人である会長がそこに立っていた。副会長とその補佐に指示を出して書類を渡す姿。
いつもならちょっと残念な部分しか見れないのにこういう時―――遠くにいる時―――には格好よく見えるのとてもずるいと思う。


「委員長? どうかしました?」

「……あぁ、いや。何でもない」

平委員の視線を受けてそのまま進もうとした時、


「……あっ」


とあちらがこちらに気付いた声がした。
と同時に凛とした顔に俺様のような笑みが浮かんで思わず嫌な顔をしてしまった。
そのままの顔でいればいいものを。


「……今週くらいは締切守ってくれよ、会長様」

「考えとくよ、風紀委員長様」


そう言ってすれ違った俺達の手が少しだけ触れ合ったのは俺達だけしか知らない事だと思っておこう。




【ずるいから好きです】


End
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