短編

□犬猿の仲にも恋心あり
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「はぁあ……」

一人しかいない風紀室に俺のため息が響いた。
どこぞの誰かさんが『咳をしても一人』なんて俳句を作ったが正にそんな感じだ。


「帰ろ……」

俺はゆっくりと立ち上がるとデスクの上に置いてある鍵を取った。


「だいぶお疲れだな、風紀委員長様?」


このふざけた声は…………。

いや聞こえない聞こえない。


「おいっ、俺様の声が聞こえないっつーのか」

「帰りたいんだ。そこを退いてくれ」

「残念ながらまだ書類が残ってる」

「帰ってからやるよ」

「今日締め切りだ」




プチン


あ、何かが切れる音がした。
凄く嫌な音だ。



「なんで昼のうちに持ってこなかったんだよ!」

「しょうがない。みんな疲れてた」

「それで言い訳になってるって思ってんのか!? というか何で今なんだよ! 見て分かるだろ、疲れてんだよ!」

「まぁそう怒るな。ハンコ押すだけだぞ」


「チッ・・・」





これだ。







絶対俺が疲れてるって言うのを知ってるからこうやって俺が楽なようにしてくれる。





「で、遅れた理由は?」

「寝てた」


「全員か?」

「あぁ」








何で悪いと思わない?

何でこんな平然としてる?





「今度遅れたらリコールする」

「わざと遅らせたんだ」






「は?」













「だって二人きりの風紀室でイケナイ事出来るだろう?」








どうしてコイツの頭はこんなバカ仕様に出来ているんだろう。






「イケナイ事しよう?」





俺はデスクに押し倒された。


あー、またこうやって断れずに



次の日立てなくなって


生徒共に変な噂立てられるんだ……


それでも止められない俺って





コイツより馬鹿だな。





End

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