お題小説
□指に触れる愛が5題
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【触れた指先にうずく熱】×嘘つき狼と…
風邪を引いて倒れる話
ハッ、と目が覚めればベッドの脇にある質素な椅子に座るそいつ。シェイク何とかの書いたなんちゃらを読んでるらしいが、
「なんで言わなかったの」
どうやら少し怒っているらしい。
「うるせぇ。関係ねぇだろ」
「関係あるよ、全く…」
そいつは本を閉じてこちらに手を伸ばした。
思わず目を閉じて何かを待っていれば。
コツン、とデコにそいつの指先が当たる音
「……っに、すんだボケッ……!」
「熱は夜にまた上がってくるって先生言ってたし目が覚めたなら帰ろう、起き上がれる?」
「うるせぇ、構うな!」
少し痛い喉を酷使して叫べば「仕方ないなぁ、」なんて言ったそいつが俺の身体の下へ手を入れた。
「っよいしょ、」
「はっ……?」
「ありゃ、全然力入ってないじゃないか。担いでいこうか?」
「い、要らねぇ!」
そうして叫んだけども結局その通りになってしまったのは熱のせいだと言う事にしておこうと思う。
【触れた指先にうずく熱】
End