過去作品
□雨の日の帰り道。
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「うぁー・・・。」
どんよりと曇った空から、ポツリポツリとこぼれだす雨。
それはそんなに強くなかったけど、傘を忘れたあたしにはショックなものだった。
「雨降ってるし・・・。やまないかな〜(泣)」
「いや、無理だろ。」
何となく呟いた独り言に返事が帰って来ので、あたしは驚いてしまった。
「ふおぇぁ?!」
「何奇声上げてんだ、糞チビマネ。」
見上げるとそこには、泥門の悪魔と名高い、蛭魔先輩が居た。
「ぁ、こんにちは。」
一応挨拶。
「何やってんだ、こんなトコで。」
「雨宿りしてます。傘忘れちゃって・・・(^_^;)」
「・・・。今日の降水確率、90パーセントだったぞ?」
呆れたように言う先輩はため息をひとつついてから、
「・・・。入ってけ。」
といって、真っ黒なこうもり傘を差した。
「ぇ、そんな・・・。いいですよ、帰り道だって・「途中まで一緒だが?」
「いいから入ってけ。」
「・・・。ありがとうございます・・・。」
言いかけた言葉をさえぎられ、言いくるめられたあたしは、先輩と相合傘をすることになった。