華鬼 響編
□第一章
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7月7日
世間では織姫と彦星が年に一度、天の川を渡り愛を語り合う日であり
笹飾りに願い事を書いて祈りを捧げる日でもある夏の日。
陽の光が差し込む部屋で少女はパジャマを脱ぐと制服に着替えリビングに向かう。
そこには新聞を読む叔父と朝食の準備をする叔母がいた。
少女の両親は幼い頃に交通事故で亡くなっているため親戚の家をたらい回しにされ音信不通だった叔父夫婦と連絡がとれたためここで生活している。
親戚の人たちも叔父夫婦も従姉妹の彩夏もまるでなにか恐ろしいものを見るような目でいつも少女を見ていた。
その理由は生まれつきある胸元の華のような痣が原因だった。
これは生まれたときからあるためどうしようもないのだがこの痣が気味悪いと何度も言われた。
血のように赤いそれは花の形にも見える。
この痣のせいで呪われた子と何度も罵倒された。
その上なぜか男によく声をかけられるためこの世で一番自分がかわいいと思い込んでいる彩夏が嫌がらせをしてくるのだ。