Story F
□遠距離恋愛
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「ってことがあってさー、勝手に不安になってる」
次の日大学で昨夜の出来事を友人に話して、少しでもモヤモヤを発散させる。一人で溜め込むと大変なことになるのは去年の夏の終わりの頃に経験済みのため、たまにこうして話を聞いてもらっている。
「あー・・・でも逆にそのタイミングでその子を紹介されても怪しいし、橘くんに限って浮気なんてないって!」
高校時代の2人見てたらわかるよ。
と、友人。
人に言ってもらえただけで少し気持ちが楽になった。
「同じ時間帯に終わるただのバイト仲間でしょ!大丈夫だよ」
「・・・そうだよね。まぁ、真琴に聞いた方が一番早いんだけどねー、聞きづらいし・・・」
持っていたケータイをぎゅっと握りしめて気持ちを殺すことにつとめる。
まさか、私が遠く離れてる間に彼女は近くで真琴と過ごせることに悔しく思ってるなんて、言えない。
自分がこんなやつだとは、離れてから知った。きっとこんな私の気持ちをを真琴が知ったら嫌われちゃう。
はぁ、止まらないため息。
そんな私に友人は肩を掴み、
「よし、飲むぞ。」
いきなりで驚いて何も言えずにいるとまた、飲むぞ。と言ってきた。
彼女の顔は真剣だ。
「ど、どうしたの、そんな真面目な顔し「目には目を、歯には歯を。だよ!」・・・ん?」
いまいちピンときてない私に彼女は盛大なため息をついて、机をバン!と叩いて叫んだ。
「橘くんには危機感がないんだよ!ってか、鈍感!名前も同じ状況になったら気づくと思うの!」
つまり、簡単に言うと真琴に男の影をチラつかせろってことらしい。
「え、ヤダよ!遠距離だから余計な不安材料増やしたくない!」
「あゆみはそれで不安になってるのに?直接言えないならこんなやり方しかないじゃない。それとも私から橘くんに直接言う?」
「直接言うのは、ちょっと・・・」
「じゃぁやるしかないね!金曜日!夜空けといてよ!」
絶対楽しんでる。いや、心配もしてくれてるんだろうけど。
でも別に、合コンなんてことはないだろうし、前もって真琴に知らせておけば大丈夫だよね。
真琴は私の知らないところで、女の子も混ざってご飯食べに行ってるみたいだったし。
あぁ、思い出したらまた悲しくなってきた。