Story F
□私のキモチ
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「やだ。」
言ってすぐ後悔。
本当はこんな我儘じみたこと言いたくなかった。
自分に自信がない私は、いつも不安で。
すぐ不安になることを知ってか、知らずか、真琴は何かあればすぐに私に報告してくれた。
ただ、今回はあいつが絡んでるだけに倍、面白くない。
「別にずっと一緒ってわけじゃないし、ね。」
「やだ。」
知ってるよ。真琴が周りから白い目で見られてることも。全部私のこの態度がいけないことも。
真琴がどう思ってるのかは知らないけど。そばにいてくれるってことはまだ許してくれてるんだと思う。
それでも不安だから落とした視線に、小さくため息をつく真琴。
途端に不安が押し寄せる。
「あの子だから嫌なの?」
「他の人でもやだ。でもあいつはもっとやだ。」
「不安?」
「あいつ、真琴のこと好きだから、やだ。」
「不安なら委員の仕事が終わるまで待ってる?それに俺は名前が好きなんだけどな・・・伝わってない?」
だいぶ冷たくなった秋風に真琴の手をギュッと握る。それだけじゃ物足りなくて。
「じゃぁぎゅってして」
抱きしめられた温もりに小さな安心。
「・・・終わるの待ってるから」
顔を押さえつけて真琴の匂い。
素直になれないけど、やっぱり大好きだと胸の内で呟いた。