Story F
□彼女の反撃
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彼女の反撃が始まった。
ちょっとしたイタズラ心で家でしかかけないメガネをかけて登校したら、妬いてくれた。嬉しかったけど、こんな反撃があるならしなきゃよかった!
「待って、名前。どういうこと?」
思いっきり顔を引きつらせた俺に、普段はおだんごにしている髪をおろして、緩く巻いている。挙句に化粧もバッチリだ。所謂、デートに行く時の風貌だ。
ちょっと!反撃にしてはやり過ぎじゃないか!?
「え、真琴がそんなこと言うの?自分がしたこと忘れちゃったの?」
仲直りして一緒に帰ったはずなのに、やっぱりまだ根に持ってたんだ。
「いや、それは・・・俺が悪かったけど・・・」
「じゃぁ1日くらいいいよね?」
ニコッと笑う名前に黙っていると肯定と取られたのか、今日も一緒に帰ろうね!と話を逸らされた。
やっぱりいつもと雰囲気が違うからか、普段の彼女を知ってる人は振り返ってまで見てる。
だって名前は可愛いんだ。
俺しか知らない姿なのに。
俺は帰りのHRの時だけしかメガネつけなかったのに。名前は今日1日あの姿か。
昼休みに大きなため息をついたら心配された。
「まこちゃん大丈夫?体調悪いの?」
「いや、名前がさ「あ、名前ちゃんね!今日髪型いつもと違ってすっごく可愛かったね!僕たちのクラスでもその話題で持ちきりだったよー!」・・・」
傷を抉らないでくれ!
ついにいじけて箸でおかずを突き始めた俺にハルの声。
「おい、真琴。あれいいのか?」
視線の先には校庭にいる小さく見える名前。周りには同じクラスの男子が数人。
そのうちの1人が名前の髪に触れていた。
弁当を放り投げる勢いで立ち上がり校庭まで全速力で駆け抜ける。
もともと名前は男子からの人気があったんだ。朝もクラスの男子がそわそわしてた。俺がいない隙に近づくなんて!
あの柔らかなふわふわした髪を触れるのも、俺だけだし、名前自体に触れるのも俺だけだ!
いっつもふわふわな髪を撫でると、嬉しそうに笑うのがたまらなく可愛い。そのまま髪に手を差し込んでキスをすると顔を赤しながら照れ笑い。
俺だけの名前。
他の男に妄想すらさせてやるもんか!
校庭に未だに囲まれてる名前まで駆け寄って叫んだ。
「俺の名前に気安く触るな!!」
その日のうちに会う人会う人に、束縛する男は嫌われるぜ、リアルセカチューくん。と言われ、その日の出来事は俺の黒歴史に刻まれた。
END
たまにはポップなものを描きたくなる。