Story F

□気付いてよ
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遙と付き合い始めて一ヶ月。




放課後、遙の部活が終わってから一緒に帰るようになって一週間。





はっきり言って付き合う前と何も変わらない。だから一週間前、思いきって一緒に帰ろうと提案してみた。



わかった、とだけしか返ってこなかったけど嫌じゃないってことでいいんだよね?


















って思ってたけど、自信が持てない。
帰り道ずっと遙は話さないし、私も必死に話題探すけど一言返ってくるだけで続かない。
ネタが尽きて私までだんまり。





遙のこともっと知りたいけど、聞いても詳しくは教えてくれないし。
私の話しも聞いてくれてるのかイマイチよくわからない。表情はあまり変わらない。私から告白した時に驚いた顔を見たぐらい。
笑った顔なんて見たことない。
それって彼女としてどうなの。






高校入学と同時に引っ越して来た私の家は遙の家から結構近くて、付き合ってすぐに知った時は一緒に帰れる!なんて期待してたけど、実際は私から誘わないと何のアクションもない。



つまりまだ、何も始まってないに等しいのだ。



すっかり暗くなった空と交わるように色を落とした海に視線を向けて小さくため息。


水が大好きなのは付き合う前から知っていた。去年立ち上げた水泳部のことが、その仲間が大切なのもわかっていた。その次でいいから私のことも気にしてほしい、なんて思ってたけどその次の立ち位置に立てている自信は0だ。


出かけたこともないし、遙の家に行ったこともない。むしろ一週間前初めて一緒に帰った日に連絡先を交換したばかりだ。



もちろん、私ばかりがメールを送って返事はほぼない。
あっても、そうか、わかった、よかったな、つまりこちらも一言返事。


3日前にプール開きして泳げるようになってからはメールの返事は皆無。
完全に水に負けてしまっている。





一歩先を歩く遙の顔を見上げれば、遙も海を見ていた。




ねぇ、遙は何を考えてるの
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