Story F

□海
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今年3年生になった俺達。
この夏服ももう最後だ、なんて会話をよく耳にするようになった。
こうも暑いと制服のままプールへ飛び込みたくなるな。
なんて考えてたらHRが終わった。少し前の席に見えるハルは早く泳ぎたいのだろう。荷物を持ってすでに俺の席へ近づいてくる。


「早いね、ハル」



「別に」



といつも通り、顔を横に背けている。
クスッと笑って俺も席を立った瞬間クラスの男子が声をあげた。



「なぁ!このクラスで何か夏の思い出作ろうぜ!」



ニカッと笑って見せる笑顔は、幼い頃の凛を彷彿させる。



「もうすぐ皆受験勉強に集中すんだからさ!今のうちに!な!」



春にも彼が同じことを言って、クラス替え早々に花見に行った。そのおかげかうちのクラスは他のクラスと比べると仲が良い。




「ってわけで、暑くなってきたし!海だ!海行こう!今週の土曜日な!」



もちろん反対する人なんていなくて、トントン拍子に話が進んでいく。


その日はちょうど部活も休みだ。
隣のハルは目をキラキラさせている。部活休みだと泳げないからね。




「ハル、俺達も行こうか。」


「あぁ。」





「遙くん達も行くの?」



後ろから声をかけられて振り向くより先に彼女がハルの横から顔を覗き込んできた。


「遙くんがいくなら私も行こうかな」




苗字名前さん。一ヶ月程前に彼女からの告白で2人は付き合い始めた。最初報告を受けた時は本当にビックリしたけど、ハルを見てると苗字さんのことを優しい目で見てるから安心したのは内緒だ。




「俺と真琴は行く。」


ハルからの返事に苗字さんはニコッと笑って


「じゃぁ私も行く!楽しみだね、海!」



苗字さんはいつも笑顔だ。
その笑顔を見たハルまでも少し、優しく微笑み返すんだからすごい力だ。
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