Story F2

□不安になるのは好きだからだよ
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彼女とは言え安心なんかできない。
いつ、誰が、どこから狙ってるかわからない。
人気者の彼と付き合うまでたくさんの苦労があった。それは付き合ってからも変わらない。付き合えたからって油断はできない。
だって、本人がこんなにボンヤリしてるんだもん。多少イライラしちゃうのは許されると思う。


「でね、その時江ちゃんが」
人の話を笑いながら聞くのってこんなに大変だったっけ。
最初はニコニコしながら聞いてたけど明らかに松岡さんの話が多いし、真琴の話を聞く限りじゃ松岡さんは真琴に気があるみたい。
真琴本人は笑えるぐらい気づいてないけど。
高校で知りあった私と比べて、昔からの顔見知りの松岡さんは真琴と距離が近い。幼なじみの妹ってのもあるだろうけど。
松岡さんも彼女の私がいるのを知りながら、よく真琴に相談するために2人で会ったりしてるらしい。
嫌だと、強く真琴に言えないのは、その優しさが真琴の良さだから。
個性を殺してしまうのは違うと思いながら、やっぱりどこか納得できない部分が大きくて。
何も言えずに今日も水泳部の話を電話越しに聞いている。

「そう言えば明日凛の家に行くんだ。」

それって松岡さんもいるの?なんて聞けない。
「そうなんだ・・・」
私が勝手に嫉妬して、不安になってるだけ。真琴はやましい気持ちなんてないんだから。












信じてるけど、やっぱり不安だよ。
きっと今頃松岡さんの家にいるのかな。って、松岡くんの家に行くって言ってたのに、松岡さんの方でイメージしてる時点で不安が隠しきれてない。
「もー・・・やだなぁ」
松岡さんとは何度か話したことある。すごくいい子で、ちょっと変わってるとこもあるけど裏表ない子だってわかる。だから真琴と2人だけで会って相談してるのだって、きっと部活関連のことだろうなって。
だからこんなイヤな気持ちになる自分が恥ずかしいし、醜く思えて仕方ない。
「あ、真琴だ」
握りしめてたケータイに着信。
ベッドに寝転がってた体制のままボタンを押した。
「もしもし?」

「あ、名前?」

「どうしたの?」
4時を示す時計を確認して帰るにはまだ早い時間だと思いながら聞き返す。
「今、名前の家の前にいるんだ」

「・・・え?」

「会いたかったから来ちゃった」
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