Story F2

□すべて閉じ込めて見ないフリ
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「名前、東京の大学に行くんだろ?」
「えっ」
「悪い、進路の紙天方先生の机で見た」
逃げ道を塞がれたような感覚にじわっと汗が滲む。
遙の体が離れて解放される。
数歩下がった遙は綺麗な動作で頭を下げた。
「・・・えっ!?ちょっと遙!?」
慌てて止めさせようと肩に触れる前に聞こえた言葉に動けなくなった。
「俺も東京の大学に行くんだ。もっと水泳の世界にいたい。泳いでいたい。夢を見つけたんだ。だから俺のそばにいてほしい・・・!名前のこと置いていったりなんかしない。俺には名前が必要なんだ!」
言いたいことがあるのに。
涙を拭いたいのに。
体が自分じゃないみたいに動かない。
泣きすぎて頭痛くなってきた。でも嬉しい。私、遙のそばに戻っていいのかな・・・
いつの間にか頭を上げた遙の指が頬を拭ってくれた。
「答えは肯定しか受けつけない」
で、返事。って急かされてなんだか気が抜けて笑ってしまった。
「ふふっ強引すぎだよ」
こんなに素直に笑ったの久しぶりだ。遙と一緒だと優しい気持ちになれる。もう一度一緒にいられるなら、チャンスをくれるなら、もっと素直な私でいたい。

「で、返事」
「私も遙のそばにいたい。私には遙が必要、だよ。大切に想ってくれてありがとう。私も好きだよ」
優しく握られた手に愛おしさが募る。
ぎゅっと握ったら目を閉じた遙の顔がおりてきた。





END





重い。ハルちゃんにフられていろんな人へフラフラしちゃう夢主が書きたかったのに。
体を売ってはいけません。
夢主と会ってた歳上お兄さんは、実は夢主のことが好きで会いたいからお金渡して会ってたって言うどうでもいい裏設定です。

皆様いかがでしたでしょうか?
私はこういう設定も好きなので楽しく書けました!
苦情は掲示板までお願いします。
リクエストありがとうございました!

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切甘





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