Story F2

□二人のキモチ〜思い込み〜
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「んっ、真琴っダメ」
キスをしながらベッドに押し倒せば拒否の言葉。
「えっ、嫌?」
「・・・うん。ごめん。そんな気分じゃなくて」
覆いかぶさる腕からするりと抜けだして起き上がる名前。


あの事件以来名前は甘えてきてくれるようになった。
前みたいに我儘を言うことがなくなって少し寂しいと思ってしまう。
我儘言っていいんだよ!って言ったけど、じゃぁたまに言うね。って。
一度も言われたことないんだけどね。
そんな感じだけどなんとか順調にいってる。
だから今回断られたのは少しショック。半ば無理矢理、こんな日もあるよなって諦めた。








「名前が変なんだ・・・!」
「どうしたのー?まこちゃん」
「どうせ名字のことだろ」
「う、うん・・・」
「どうかしたんですか?さっきも楽しそうに話してたじゃないですか」
「いや、そうなんだけど・・・名前が最近、そのし、シてくれないんだ・・・」
昼休みの屋上。お弁当のおかずを突きながらその場にそぐわない話題を放り込む。
だって、情けないけどちょっと不安になったんだ!

いまいちピンと来てないハル。渚は女の子みたいな楽しそうな高いを声をあげて興奮してるし、怜に至っては固まってる。
・・・相談する相手間違えた、かも。

「で!で!?いつからシてないの!?」
「おい、何の話だ」
「ははは遙先輩っ!!聞かないほうが「もーハルちゃんってば惚けないでよぉ!セックスだよ!セック「渚くん!何回も大きな声で言わないでください!!」
えー!と騒ぐ2人。
その横から真っ赤な顔をしたハルが「なっ何言ってるんだ!」って箸で持ってた鯖を落としたのに気づいてない様子。
でも、頼れるのはこのいつものメンバーだけ。凛に相談するにはあの一連の事件を説明しなきゃだし、そもそも凛は名前のことあまり知らないから具体的なアドバイスをもらえそうにないし・・・

「で!まこちゃんはセックスできないのが悩みなの?」
渚の大きな声に屋上にいた人たちからチクチクと視線が突き刺さる。
「なっ、渚!声大きいから!」
「あっ、えへへ。ごめんごめん。で?」
あまり反省の色を感じられない声色で催促されてポツリポツリと吐き出した。
ここ3ヶ月ほど誘ってもやんわりと拒まれること。
理由を聞いてもはぐらかされること。
一週間ぐらい前から何か言いたげな顔を向けてくるけど、視線が合えば逸らされること。
「俺何かしたかな・・・」
さっきまで楽しそうに聞いてた渚も段々口数が減ってきた。
そんなに暗い顔されるとかなりヘコむなんだけど!

「たまに見かけるけど、楽しそうに話してるだろ」
意外にもハルの声が飛んで来て驚いた。ちゃんと話し聞いてくれてたんだ。
「あ・・・うん。学校では大丈夫なんだけど、2人だけになるとよそよそしくなるんだ・・・」
「例の件を気にしているのでは?」
「いや、それはないと思う。例の件の後は普通にエッチし」
思わず口が滑って出た言葉に皆の顔を見るとさっきと似たような反応が返ってきた。
その後少し考える素振りを見せた渚。
「ただ単に生理なんじゃないの?」
「俺もそう思って日にちあけてみたけどダメだった・・・」
「うーん、そんな気分じゃなかったとか!」
「そう言われながら視線逸らされたんだよな・・・」
ははって空笑いしてかなり惨めになった。もういっそのこと突き止めずに理由がわからないままやり過ごそうか・・・。事実がわかった時、俺自分を保てるかな・・・
「だったらこれしかないよ!まこちゃん!」
ずいっと距離を縮めた渚の顔はかなり真剣だ。
「他に好きな人ができた、とか?」
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