CHAMBER OF SECRETS
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ポリジュース薬の材料が盗まれた。改めて今日までの在庫のリストを確認してみればスリザリン、グリフィンドール2年の授業のあった日に生徒用薬品棚からもいくつかの材料が減っていることがわかる。
スネイプは大鍋を覗き込むアズサをちらりと見た。
「僅かに2年学んだだけでポリジュース薬が調合出来る程の、薬学の才能をお持ちの生徒は、私の知っているところでは1人なのですがね?」
スネイプの言葉にアズサは面食らう。
『褒めていただき、ありがとうございます。』
「誰とは言っていない。」
スネイプは素っ気なく言った。先ほどの言葉は無意識だったらしい。
『でも、それは私のことでしょう。』
調合は順調。アズサは大鍋から顔を上げた。
「傲慢。まさにグリフィンドール気質ですな。組分け帽子も間違えるというわけだ。」
スネイプはアズサを鼻で笑う。
それに対しアズサはにっこりと微笑んだ。
『もしそう見せているだけならば、狡猾でしょうけど。』
アズサの生意気ともいえる言葉だが、スネイプは特に気にしないようで、むしろ言葉の応酬を楽しんでいる節がある。
アズサは2人掛けのソファに倒れ込んだ。
「だらしない。」
もともと、このソファの上にも書類が積み上がっていたが、それを片付けたのはアズサだった。
『アー…気をつけます。』
改める気の無いアズサに溜息を吐きかけた時、部屋の扉がノックされた。
慌ててアズサは起き上がろうとしたが、
「ツキミヤ、そのままでいたまえ。」
スネイプがそれを制する。
ソファの背もたれによってアズサの姿が扉の外からはちょうど見えなくなっていた。