CHAMBER OF SECRETS

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歓声は悲鳴へと変わる。
派手なローブがピッチに降りて行くのを見て、アズサも慌てて立ち上がった。


「どこへ行く気だ!」
スネイプの制止を無視してアズサは観客席の手すりを飛び越える。
『すぐ戻ります。アクシオ!』
自分に向かって飛んできたのは試合の予備の箒だ。
折れた時のためにいくつか競技場に用意されている。

アズサは一直線にクネクネとしたポーズでハリーに杖を向けるロックハートの方へ向かった。

『先生!待って!!!』
アズサの声にロックハートは歯を見せて微笑む。貴女も私の魔法を近くで見たいのですか。と、
そうして再び杖を構えた彼に向かい、スピードのでる箒に乗ったまま、アズサは再び叫ぶ。
『インペディメンタ!』

魔法を相殺されあんぐりと口を開け立ちすくむロックハートを放置してアズサはハリーを立たせた。
彼に肩を貸しながらピッチの出口へと向かえば、フレッドとジョージが、慌てて手伝いにくる。

2人にハリーをまかせ、アズサは箒を返しに寄ってから、校舎へと歩く。
寮でない方の、私室に戻ればスネイプが鬼の形相でこちらを睨みつけていた。

『あー……罰則でしょうか?』
勝手に箒を使用したこと。ピッチへの不正乱入。ついでにいえばブラッジャーへの魔法の行使に教師への妨害呪文。
どれがアウトでどれがセーフなのかは分からなかったが少なくとも一つ以上は校則違反だろう。

「座りなさい。」
スネイプが視線で示した先のソファに座る。
休暇中、彼がよくそこで、ダンブルドアから贈られた本を読んでいた。
座ってようやく、廊下とつながる扉ではない扉が開いていることに気づく。その扉はダンブルドアがつくったものだがアズサが回復した今なお、彼の研究室と繋がったままにされていた。

『すみません。』
スネイプは無言で研究室に戻ると、いくつかの小瓶を抱えて戻ってきた。

「さて、今回教師に妨害呪文を使った……ということが生徒から報告されたのだが、教師からの証言がなくてね。妨害されたというロックハート本人もツキミヤに呪文をかけられたなど思ってもいないようで、その件については不問とする。」

認めることはロックハートのプライドがゆるさなかったのだろう。スネイプがアズサの腕を掴むのを見ながら、そっと息をついた。





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