CHAMBER OF SECRETS

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また後で。とは言ったものの、アズサはクディッチ競技場でパンジー達と合流できていない。
全校生徒のほとんどが集まる競技場で彼女らを見つけることは難しかった。

また、研究室を出てからスネイプと並んできた流れでいつのまにか教員席のスネイプの隣に座っていた。
負けた時の機嫌の悪さが恐ろしいが、パンジーや他の生徒達でもそれは同じこと。
どうか奇跡でも起きて勝ってくれとアズサは祈った。

『教授はクディッチはされたのですか。』
放送席に座るマクゴナガルを見ながらアズサは聞いた。彼女は元選手だ。

「私はしていなかったが、後輩がシーカーだった。」
『そうなんですね。』
後輩とは、シリウス・ブラックの弟のことだろうか。アズサは口を噤んだ。


**

両チームの選手がピッチに入場してくると、会場中からわぁーっという歓声があがった。
マダム・フーチの合図で選手達が一斉に空へと舞い上がる、歓声はますます大きくなり、観客席を揺らした。

開始と同時に、ブラッジャーの一つが執拗にハリーを狙い始める。フレッドとジョージはハリーの周りを飛び回り、必死にそれを阻止した。

大粒の雨が振り始め、皆視界の悪さにあまり状況が分からないものの、会場の盛り上がりは止まらない。
「スリザリンのリード。六十対〇」
リー・ジョーダンの解説の声にスリザリン側の観客席から歓声が沸く。
一方、それ以外の寮の生徒達はブーイングを飛ばした。

ついにグリフィンドールはタイムアウトを要求した。
スリザリン生の熱気はますます上がっていく。

「どうなっている。」
タイムアウト中、ピッチに降りたハリー達を双眼鏡で覗いていたアズサをスネイプがゆすった。

『ゲーム開始から、ブラッジャーの一つの動きがおかしいのですが。』
「何?」

スネイプはアズサから双眼鏡を受け取ると、自身と彼女に防水呪文を施した。

ゲームが再開され、フレッドとジョージは持ち場に戻る。ハリーは1人でブラッジャーを避けていた。
ブラッジャーが重く素早く方向転換できないのを利用し、彼自身が素早く動くことで、なんとか逃げきれていた。

『うわっ!痛そう。』
ブラッジャーがハリーの腕を掠めた。
スネイプは眉を顰める。スリザリンを応援する中でただ2人だけが、ブラッジャーを睨みつけていた。

と、その時、ハリーがドラコに向かって動く。
ドラコは襲って来るとでも思ったのか、怯えてそれを避けようとする。

「ハリー・ポッターがスニッチを取りました!グリフィンドールの勝利!!」

リー・ジョーダンが叫んだ瞬間スリザリン以外の生徒がわっと沸いた。
皆が叫ぶ中で、アズサは杖を奮った。
『フィニート・インカンターテム!』

ブラッジャーは少しスピードを緩めたものの、地面に降りようとしたハリーに激突した。


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