兎さんとの甘い時間

□故郷なのに…
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ジョニー「サクラー。室長が呼んでたよー。任務だってぇー」






歓迎会から数日が過ぎたある朝、食堂で朝食を食べ終わり
自室にも戻ろうとしていた時にジョニーにそう言われた。




ここでの暮らしもだいぶ慣れてきたと思う。




しかし、未だにもとの世界に帰る方法は手掛かりすら見つかっていない。



ただ、時間だけが過ぎていくことに私は少なからず焦りを感じていた。




自室に向けていた足を室長室に向け、そのまま室長室へ行く。









コンコン










コムイ「はーい」




「サクラです」




コムイ「いいよ、入ってー」









ガチャ









「失礼します…」




コムイ「ナイスタイミングだったね」






扉を開けるとコムイさんがニコニコとして待っていた。






神田「チッ…お前かよ……」






コムイさんが起きているなんて珍しいと思っていたがどうやら先客がいたらしい。




扉の影で見えなかったが仏頂面の神田が壁に寄りかかって立っていた。






「神田じゃない。どうしたの?」




神田「任務だ」




「あ、そーなんだ。私もだよー。そういえば、誰となんだろ?」






一層表情が険しくなった神田をコムイさんはまるでいたずらっ子がするような笑みを浮かべ指差していた。






コムイ「神田くんとだよ」




「え″…」























トマ「汽車の時間がギリギリです。お急ぎください」




「飛び乗り列車…。もう、なんで余裕持って出ないのよ!」




神田「うるせぇ」






爽やかな朝日を浴びて家々の屋根を駆ける3つの影。




コムイさんの話のあと、すぐに教団を出発した。




どうやら、かなり危ない状況らしい。




詳しい話は神田とトマさんに聞くように言われた。




何よりも今は汽車だ。




陸橋に着いた時にはもう汽車が見えていた。






トマ「あと10秒です」




「あの汽車…ですか」




神田「ビビるなよ」




「このくらい何ともありませんー」




トマ「3…2…1…今です」






トマさんの合図と共に走り抜けようとする汽車へ向かって飛び降りる。




どうにか着地し、車内へ入る。





車掌「お、お客様!?な、なんでそんな所から…こちらは一等室でして……」






しどろもどろしている車掌さんとは違ってトマさんは至って冷静だった。






トマ「黒の教団です。一等室を一室お願いします」




車掌「黒の教団…?」






本来であればすぐに容易してもらえるはずなのだが、車掌さんは訝しげな顔をしてこちらをジロジロと見ていた。




そんな様子に苛立った神田が車掌さんにつかみかかってしまった。






神田「つべこべ言ってねぇで用意しろつってんだよ」




「わ、わっ、神田ストップ!」






神田を止めようとしていると騒ぎを聞き付けたのか他の車掌さんも集まって来てしまった。




数人の内先頭にいる人の胸にはキラキラとしたバッチが付いていた。




おそらく、車掌長なのだろう。






車掌長「なんの騒ぎですかな」




車掌「こ、この方々が一等室を今すぐ用意しろと…」






車掌長さんは私たちの胸の十字に気がつくと恭しく頭を下げた。






車掌長「失礼致しました。黒の教団の方々」






突然上司が頭を下げたのでさっきまで疑った顔をしていた車掌さんはポカンと口をあけていた。






車掌長「この者はまだ配属されたばかりの新人です。どうかご無礼をお許しください」




神田「フンッ」




トマ「では、部屋を用意していただけますか?」




車掌長「今すぐに」

















5分もたたない内に部屋が用意された。






最初に会った車掌さんも黒の教団のことを聞かされたらしく、「先程は失礼致しました」と謝ってきた。




部屋に入ってふかふかの椅子に腰かけると、すぐにトマさんから紙の束を渡された。






トマ「それが今回の任務についての資料です。ご説明してもよろしいでしょうか?」




「はい。お願いします」
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