兎さんとの甘い時間

□意味
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3人で入り口方面へ駆け出す。






光…っ。






ラビ「出口さ!」






暗い洞窟から出た私たちが見たのは





























惨劇。



Lv1のAKUMAが3体。



Lv2のAKUMAが1体。



AKUMAの周りに飛散しているのは肉片が黒ずみ砕け散る。



バラバラになった結界装置。



誰のかなんて嫌でも予想がつく。





























「そん…な…。」






1体のAKUMAが血飛沫を浴びた顔でギョロリとこちらを見た。



目が合う。



逃げな…きゃ。



動けっ…動け!






ラビ「サクラ、危ねぇ!」






すくんで動かない体をラビに突き飛ばされる。



Lv1のAKUMAは破壊された。



他のLv1がすぐさまラビに襲いかかる。






Lv2「やぁっと出てきたよ。待ちくたびれたぜぇ?」






コムイさんの言った通り待ち伏せされてたんだ。



私の目の前にはカマキリのようなLv2が1体。



ラビはLv1と戦ってる。



終わるまでは…






Lv2「イノセンス持ってるのはオマエかぁ?それとも向こうの小僧かぁ?…まぁ、どっちでもいいや。全員コロスからなぁ!キッシャッシャッシャッシャッシャ!!」






待ってくれそうにないな。






(私が…やらなきゃ!)






歯をくいしばって震える体を無理矢理立たせる。






アル「…ぁ……AKUMA…。」



「アルはそこの岩の陰にでも隠れていてください。」



アル「……はいっ。お気を付けて。」






アルが隠れたのを見届け桜吹雪を手にとり、鞘から抜いて発動する。






「イノセンス、発動!」






刀身が淡く光り、冷気を発した。






深呼吸………。



大丈夫…やれる……。






Lv2「そんなひょっろちい剣でなぁにが出来るんだぁ?」















(まだ………まだダメ……。)















Lv2「諦めたのかぁ?」















(まだ……………もう少しっ。)















Lv2「来ないならオレが殺ってやるよ!」



(今だ!)






全身のバネを使って向かってきたAKUMAの方に駆け出す。






Lv2「なにっ!?」









ザシュッ









止まらずそのまま駆け抜ける。



桜吹雪で切ったAKUMAの傷が凍り始めていた。






Lv2「いってぇぇ!!オマエ、マジでぶっコロス!!」






また十分な間合いをとって準備をする。











これが私の戦い方。



私にはまだ、神田のような技術もリナリーのような素早さもないから少し相手から離れた場所でじっと待つ。



じれったくなった相手が向かってきた所ですかさずカウ
ンターをかける。



剣道の大会でも何度も使った技だ。



一撃ずつ確実に。



同時にイノセンスの発動は着実に私の体力も奪っていった。











(こんなに長い間発動したことなかったから消耗が激しい。ラビが帰ってくるまで体力がもつかどうかもわからない。……次で決める!)






決心した矢先、AKUMAの顔つきが変わった。






Lv2「オレのカマのはんいがこのていどだとおもうか?」



「え?」






鎖鎌のようにAKUMAの鎌がこちらにのびてくる。






「!!!」






間一髪かわすが予想外のことにバランスを崩してしまった。






(やばっ…!)






次来たら避けられない。



すぐに体制を建て直しに入るが、鎌は私の横を風のように通りすぎた。



AKUMAの目標は






















後ろにあったに岩だった。



岩が砕け、赤色の破片が舞い上がる。






「うそ…うそよ……。」





瓦礫からズルリと出てきた鎌の先に、力なく突き刺さっているモノ。























ベージュだった服は赤に染まり、目の光は失われていた。






Lv2「ヘッヘヘー。オマエにかまうよかヨワイやつコロシタほうがレベルもあがるからなぁ。」






歯を食い縛り、AKUMAを睨み付ける。






「お前は……絶対許さない!」



Lv2「お?ヤルキになった?」



「桜の舞。『吹雪』!」






次の瞬間どこからか現れた桜の花びらと雪が舞い上がる。






するとすぐに列を成し、桜吹雪の剣先についてくる。






そのままAKUMAを斬りにかかる。






Lv2「グワァァァ!」






斬っていったところに桜と雪の列が通りどんどん凍っていく。



お母さんから習った剣舞を思い出した。



試合も好きだったけれど、なにより剣舞をやるのが一番好きだった。



剣を持って美しく舞う。



自分なりに美しく舞えば舞うほどどんどん楽しくなっていった。



もっと美しく、もっと綺麗に。












Lv2「こんな…エクソシストなんかにぃぃ!」






AKUMAは大きな氷の塊となった。






「はぁ…。やった……?」




(舞っただけなのに…。)




とにかく体力をかなり消耗したらしい。



足に力が入らずその場に座ってしまった。






「アル………ごめんなさい。」






守れなかった。



あんなにも親切にしてくれたのに。



ぱたぱたと土に落ちる涙が止まらない。









バリン!!









「え!?」






上を見上げると黒い影が青い空を覆っている。



しまった、まだ動ける体力があったのか。



氷の呪縛を解かれた鎌は私を目掛けて降り下ろされた。






(これは…ヤバイっ!)





私が瞬時に出来た反応は目を固くつぶることだけだった。
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