どんと、るっく、ばっく。
□いちわ。
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皇輝が帰国し、数日経った頃。
U-17の2軍が集う合宿所内に、ある情報が入った。
コ「中学生を50人も....!?高校日本代表の合宿所にですか!?」
それは異例中の異例だった。
本来、高校生のみ参加する合宿に、中学生を50人も迎え入れようとしているのだ。
コーチはその可笑しな話に声を上げて笑っていた。
コ「ははっ、何の余興ですか!?ここは日本テニス界のトップ人材育成所。いわばエリート養成所ですよ監督!!中学生じゃこの合宿、3日と持ちやしませんよ」
電話をしているコーチの横を、高校生達が走り抜けていく。
その話し声が聞こえた高校生達は、早速話題にし始めた。
「....おい、聞いたか??」
「あぁ....。せっかくだ、可愛がってやろうぜ」
高校生達は中学生を馬鹿にし始め、自分達の相手にならないと認識してしまったようだ。
〈弱者〉程、自分に強い自惚れを抱いてしまうものである。
そんなか会話を聞いていた者達が口を開いた。
入「中学生かぁ…。どう思う?」
微笑みながらそう問いかけるのは、眼鏡と巻き髪が特徴の
[3番コート] 入江奏多。
鬼「気にしない」
徳「興味ありません」
答えたのは、厳つい顔をした
[5番コート] 鬼十次郎。
そして、無表情で鋭い目をした
[1番コート] 徳川カズヤ。
2人共、中学生に全く興味を示していないようだ。
予想通り、という顔をしながらクスッ、と笑った奏多は一緒にいるもう一人の者に問いかけた。
入「皇輝はどう思う?中学生のこと」
『僕ですか?』
いきなり問いかけられ、一瞬驚いたが話の内容を理解し答えた。
『僕は楽しみですよ。今の中学生は恐ろしい程の強さですからね』
ワクワクしたような、子供っぽい表情を見せる皇輝。
それを見た3人や周囲の者は、愛おしそうに彼を見ていたのだった。