龍の転生者シリーズ

□龍の転生者と魔物達の転生記
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「……何、危険すぎる物を押し付けてくれてるんだぁー!!!」

 思わず叫んでしまったオレに罪はないと思う。

 旅行中に、地震で崩れた瓦礫に潰されそうになった人達を助けてたら、その結果自分が押し潰されて死んだら意味無いだろう、我ながらなんとも言えない間抜け過ぎる最後だと思う。

 死んだと思った時、目の前に居たのはお兄さんと白い髪のお爺さんと謎の仮面の人(?)。なんでも、別の世界に転生させてくれるらしいけど……。

「「「何が不満なんだ?」」」

 揃って言ってくれましたよ、この連中。

「ワシの持つ六色のスピリットのマジック、ネクサスのカードを現実で使える様にしてやったと言うのに」

 どうやったか非常に気になる所だ。……ブレイブやバーストのカードが無いのはこいつがブレイブ登場以前の第二期のラスボスだからかよ……爺さんこと『異界王』!? だけど、これだけは言って置く、『幻羅星竜ガイアスラ』は要らない!!! このスピリット、下手に現実に呼べたら世界滅ぼせるだろう、軽く!?

「まあ、彼等を押し付けてしまったのは申し訳なく思う」

 ただ一人だけ申し訳なさそうにしてくれているのは…謎の仮面の人(?)こと爆丸に登場する『古の六戦士』の一人『ファーブニル』。
 普通はドラゴ達(第一期から三期どちらでも可、だけど流石に第三期は異世界過ぎてダメか?)だろう、と思ったがやっぱり押し付けたかHEXが使っていた爆丸達……だけど、六属性の内の風と闇はメカ爆丸だけど良いのか?

「やれやれ、折角、オレは子孫達の力を全部付けてやったのに」

 ……ある意味、アンタのが一番性質が悪いと思うぞ……武道着のお兄さんこと『緋勇 龍斗』よ。世紀末の魔人達の戦闘技術に術…《力》までって……。ああ、世界の支配者にもなれるって言うのかよ、オレは。黄龍の器の《力》に和洋中の魔術に菩薩眼までって……。

「いや、菩薩眼と四神覚醒は無いぞ。術や技は使えるし、しっかりと器では有るがな。流石にそれは《宿星》に宿る力、技術や努力でどうにかなる問題じゃない。人間が宿せる《宿星》は一つだけ、二つも宿せるわけが無いだろう?」

 ……そうですか。だけど、一歩間違えれば死者蘇生も出来そうなものを押し付けてくれたね、この人は。

「しかし、旅先で人助けして死ぬなんて、お前も相当なお人好しだな」

 今更ながら自分でもそう思いますよ。

「その意思に感心したから、二度目の人生を歩ませてやろうと思ってやってきたら……」

「自分と同じ事を考えていたのが他に二人も居たと?」

 揃いも揃って頷く目の前の方々。

「最初は我々の内の誰かの世界に送ろうと言う事になったのだが」

「それだと、力を与えなければ危険な世界が一つ有るからな」

「悪かったな、危険で」

 そう言ってファーブニルと異界王が龍斗へと視線を向けると、不貞腐れた様にそう言って明後日の方向を向く。

 まあ確かに……命が幾つあっても足りない魔人の世界と爆丸とバトスピの世界じゃ、危険度にも差があるか;

「うむ。それで、全員の世界の力を纏めて与えて関係のない世界にランダムで送ろうと言う事になった」

「まっ、お前が嫌なら元の世界で転生させてやるけど、前世の記憶は消させてもらうけどな」

「あー……その送られる世界って、力が無ければ危険って事ですか? しかも、確定?」

 無言のまま頷いてくれる御三方。

「まっ、その世界でどうするかはお前の自由って奴だ。何処の世界に行くかはオレ達にも決められないけどな」

「聞くまでも無いさ。折角の申し出、精々二度目の人生を楽しませて貰うよ」

 オレの言葉に満足気に頷く御三方。

「そうか。ならば、私の方は準備が有るので遅れて送る事になるが、他の二人の力が有れば暫くは大丈夫だろう」

 いや、確かに人類の規格外集団の集大成の様な《力》が有れば個人レベルで核兵器所持しているような物だし、そこにスピリットまで有るんだから、寧ろ……爆丸達は過剰戦力になるんじゃ……。

「いや、《力》もバトスピの力を現実に引き起こすのも、所詮はお前個人の力だ。普段から個々の意思を持っている連中なら、お前が動けない時でも動いてくれるだろう」

「幾つか例外は有るが」

 うん、ロボットな人工物のメカ爆丸の風と闇はね。姿を消していくファーブニルを他所に異界王がカードの束を渡してくれる。

「《力》と前世の記憶に目覚める条件はお前が物心付く頃だ。じゃあ、そう言う訳で第二の人生を楽しんで来い」

 龍斗がそう言うとオレの視界を光が包んでいく。





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