Destinee

□ルーン2
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紫の空に浮かぶ綺麗な三日月が街を照らす。
そんないつもと何一つ変わらない窓の外の景色を天蓋ベッドに横になりながらミントは見つめていた。

只今、夜番の者以外ほとんどの者が眠りにつく真夜中。
昼間の人の行き交う宮殿の姿とは相対して今の時間は静まり返っている。

何故か今日に限って寝付けず、いつの間にかこんな時間に。

こんな時は……。
普段は四六時中見張られているためこんな時こそとミントは見張りの付いている廊下へと続く大きな扉とは反対のバルコニーの方向へ足を向けた。

『ねえ…』

数回下に着地しバルコニーからカーテン越しに薄暗い部屋を覗く。
ネグリジェを着たレディ、ましてや女王が夜中にこんな事をして知られたらただでは済まないだろう。

『おーい』

返答がない。
返ってくるのはいびき声だけ。

『ロビン…グラシエ……』

部屋の中に失礼し声をかけるもやはり返事はなし。
それにしてもこのいびき声、五月蝿過ぎる。

「誰かいるのか…!」
『グラシエ?』

声のした方に足を運ぶとそこにはパジャマ姿のグラシエがサーベルを構えて立っていた。
グラシエは不法侵入者がミントだと分かると構えていたサーベルを下ろした。

「ミントか…だが何故ここに?」
『眠れなくて…グラシエは良くコレで眠れるね』

隣で気持ちよさそうに眠っているロビンを指して言った。

「寝れるわけないだろ、お陰で毎晩寝不足だよ」

グラシエ は「はあ」とため息を吐き枕を被って耳を抑えてみせた。

「だが、こんな所にいたら……」
『少しだけ!ねえ、良いでしょ?』

真面目なグラシエの事だ、きっと部屋に送り返すに決まっている。
そう長年の仲から感づいたミントは必死に頼み込んだ。

「……じゃあ外にしよう。いい加減嫌気が差す」

ロビンを見て顔を歪めたグラシエは大分鬱憤が溜まっているのだろう。
バルコニーに出ると清々しい夜風が二人を包んだ。
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