Destinee
□ルーン2
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『昔もこんな事あったよね。ねえ、覚えてる?』
石造りの手すりに肘を載せ頬杖を付くミントは口を開いた。
「あ、ああ…」
『なんで顔背けるの?』
咄嗟にグラシエは本人は無意識なのだろうが上目遣いでこちらを見つめてくるミントに顔を背けた。
そんなグラシエの様子を見てミントはクスッと笑う。
『グラシエって昔から変わらないよね。真面目で無愛想で…』
「おい」
『……だけど頼りになっていつも優しくて───そんなグラシエが…私は好きだよ』
突然の言葉にグラシエの顔はカァッっと熱を帯びた。
長年自身が伝えられずにいた言葉を唐突にその相手に言われ面食らう。
「そ、それは…どういう──」
『ほんと二人と友達になれて私は恵まれてるよ』
なんだ友達としてかとグラシエは意味深なため息を吐く。
それと同時に半分以上期待した自身を恥ずかしく感じた。
『今更だけど私の手料理、無理して食べさせててごめんね』
「………知ってたのか」
『最近、ね』
ミントは申し訳なさそうに苦笑いしながら言った。
『お兄ちゃんがいっつも「美味しい美味しい」って言って食べるから間に受けてたのかな』
「お前のこと凄く可愛がってたもんな」
『たった一人の家族…だからね』
──そうたった一人の大好きなお兄ちゃん
彼は今何をしているのだろうか。