FF9ED妄想
□盗賊の章
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「何とか枝を退けたはいいとして...」
巨大な根が幹を縛り付けるようにしてまとわりついている奥深く、金髪の少年ジタンが横たわる銀髪の青年クジャを守るようにして立っていた。
「さて、ここからどうやって脱出するとしますかね」
獲物を捕らえるかのようにして枝に自身の周りを360度包囲され逃げ場を無くされた状態でも、余裕有り気な態度でイーファの樹を脱出する方法を模索するジタン。
「(諦めるなよクジャ、必ず此処から脱出する方法を見つけ出すからな)」
クジャの方に目をやるジタンだったが、クジャは既に満身創痍であり、動く気力も無いのか目を瞑り微動だにしなかった。しかし、微かに息があるようだ。
たとえもうすぐ尽きようとする命でも、生きていることに変わりはない。
「生きるということは大切なこと」
黒魔道士の少年、ビビから教わったジタンの教訓だ。
天から受けた「生」を簡単に失わない為にも今まで共に戦ってきた仲間の「思い」に応える為にも、必ず此処から脱出する。
ジタンの強い思いが自身の体を突き動かしていた。