短編ごちゃまぜ
□鬼灯 いつだってあなたの傍に
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私の名前は 朔奈。
ここ閻魔殿は亡者で溢れかえる者達に裁きを下し、対処をする場。そんな鬼灯様は日々地獄がスムーズに進むように今日も今日とて仕事詰めだ。
そんな私はと言うと、鬼灯様の第二補佐官。所謂助手的な立場だ。
私自身、最初はこんな役職に就けるかも不安だった。そもそも抜擢されるなんて思ってもみなかったのだ。しかも直々に命を受けたのは鬼灯様だったからだ。前々から憧れていた人と職場が一緒になれるなんて、夢のまた夢でしょう?そんな私もこの職に就いて既に5年目を迎える。
「では、この書類をお願いします。」
『はい、分かりました。』
書類を受け取り、仕事へと取りかかる。最近になって思うのだが、鬼灯様は思った以上に優しい方だ。気遣いもちゃんとして下さる。....私が女性だからなのだろうか。でもそれは女性なら誰にもしているのだろうか....。
『(モヤモヤしちゃうな、それって....。)』
一種の嫉妬なのか。私は完全に鬼灯様に惚れている。
「朔奈さん。」
『(そもそも私がこの程度のことで悩むなんて情けない!!これじゃ確実に嫌な女だわ!!)』
――スッ、と突然額に少し冷たい手が触れられた。へっ?この手ってまさか....
『ほ、鬼灯様!?///』
「呼びかけても聞いていらしてなかったみたいなのでてっきり熱があるのかと。」
『す、すみません!!』
は、恥ずかしい!!鬼灯様は手を戻して再び話を続けた。
「この書類も序でにお願いします。さっき渡しそびれたものなので。」
『あ、はい!!分かりました。』
「....何だか、懐かしいものですね。」
『え?』
「貴方が此処へ来てから5年ですね。」
『あ....』
覚えてくださっていた。鬼灯様は。あの日、訳もわからぬまま入ってきたこの私を。その言葉が聞けただけなんだか心があったかくなった気がする。
『これからも、ずっとお側にいます。』
「....(ボソッ)それは、期待してもいいって事ですかね....。」
『え?』
鬼灯様が何と言ったかは聞こえなかったけど、....なんかまずい事言ったかな....?
「そうですね、これからもお願いします。あ、でもこれからは」
突然、グイッ、と抱き寄せられた。え、あの鬼灯様!?///そんなことをお構いなしに彼は私の耳元で囁いた。
「こうやって出来るような、今以上の関係になれるといいですね、 朔奈 。」
『〜っ!?//////』
私は呆然としていた。顔も林檎のように真っ赤に違いない。突然の不意打ち。色々な事が突発的すぎて頭がついていけない。彼は颯爽と「では、お仕事頑張って下さい。」と言い残し去っていった。
―――つまり、私も期待しちゃっていいって事ですか!?鬼灯様....//////