夢小説『短編』@

□coffee black
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冬の訪れを感じさせる冷たく澄んだ空と空気。それと、月明かりに照らされて煌めく水面を眺めながら、一日の終わりに自分がブレンドした珈琲を口にする。
何時もと変わらない行動。
何時もと変わらない日常な筈だった。

自分の心は目の前に見える穏やかな海とは違い、吹き荒む嵐のように荒れていた。

それもこれも全て『七海子』が関係している。

1週間程前、自分が、ひょんな事から焦って七海子に告白し、あえなくフラレたのだ。

しかも、『好きな人がいる。』というおまけ付で……。
言ってしまった後悔や微妙に変わった関係にどうしようもなく苛立っていた。
おもむろに手に持っていた飲み掛けの珈琲を、窓辺に置いてらしくなく静んだ気持ちを溜め息と一緒に吐き出した。

正直、『好きな人』が誰なのか、この1週間でだいたい目星は付いていて、
そいつと七海子は上手く行ってる様だった。
日に日に綺麗になっていく七海子 が、自分のモノじゃないという現実を突きつけられて辛かった。
こんな毎日を表面を繕いながらやっていく自分。
何時まで持つかわからない。

海を見詰めて、自分の気持ちを再確認する。


女々しいが好きなものは好きで、気持ちを変える術がない。

七海子がオレを何とも思ってないのが、正直ショックだった。
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