クロスゾーン

□-プロローグ1 放浪者達-
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「ふぅ、私達が最後ね。赤夏、せっかく遊びに来てたのにごめんね」

「大丈夫だよ、美依お姉ちゃん。暫くは美依お姉ちゃん達といられるから!」

「そうね。……お屋敷ともしばらくお別れ………ってね。それにしても……おっそいんじゃないかしら?あいつ…」

「遅くないみたいだよ?」


『ほら、あそこ』も言う赤夏の声に美依が見ると
探していた人物がのんびりと歩いていた


「よぅ、お嬢。赤夏。戸締りは済んだかな?」

「もう、おっそい!なにやってたのよ、家庭教師!職務怠慢ってね!!普段からロクなこと教えてくれないんだから、こういう時ぐらいちゃんとして!小五郎!!」

「そうカリカリすると、お肌によくありませんぞ?お嬢」

「小五郎お兄ちゃんが遅れた理由って、事務所で何かあったの?」

「よく分かったな、赤夏」

「ほほう?ろくに仕事もない私立探偵のくせに、見栄を張らないでってね。貴方は大人しく私の家庭教師をしてればいいの」

「相変わらず、手厳しい生徒だこと。……ただ、そのゴタゴタ…今回の件と無関係じゃなさそうかな」

「どういうこと?」

「……あっ!もしかして…美依お姉ちゃんの屋敷から『あの石』が盗み出されたのと、関わりがあるの!?」

「ええっ!?それなら早く言いなさいよ、小五郎!」

「むっ………!待て、お嬢!赤夏!何か来る!!」


美依と赤夏が小五郎に聞こうとした時、小五郎が二人を止める

その瞬間、三体の化け物が現れる


「ほっほっほ。我が主の名において」

「あぁ〜!このバケモノって!」

「美依お姉ちゃんの屋敷から盗み出した!」

「犯人の一味、かな。……まだ盗み足りないらしい」

「もう!とっっかまえて、何処に持っていったのか白状してもらうんだから!小五郎!赤夏!やっちゃいましょう、ってね!」

「そうだ!悪いのは捕まえないと!」

「よしなに、お嬢。赤夏」

「それに、人のを盗んだら駄目だもん!」

「天斎流忍術、久々にお見せするかな」

「修行はパパに付けてもらってるから簡単には負けないからね!」

「ふふん。カッコよかったら誉めてあげるってね」

「こいつらを締め上げて、あっさり片付けはばいいが……なんとなく、長い旅が始まるような予感がする……かな」


小五郎の呟きは誰にも聞こえずに消えていった……
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