月刊少女野崎くん

□イー♪ニーハイ3!!
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先輩の彼女になってもうすぐ1年!

今年の、先輩の誕生日は二人きりでお祝いしようと決めていたのに……。
断れない状況まで追い詰められて参戦を余儀なくされている。

梅ちゃんを筆頭に、堀先輩を慕ういつもの面々と、先輩大好き演劇部の皆さんは、思いの外しつこくて、私の方が折れるしかなかったのだ。

「お願いしゃーす!!」

全員揃って頭を下げたあと、ズズイと差し出されたニーハイソックスは、皆で意見を出しあって購入したそうだ。

チラ見して、ソックスから視線を逸らす。

「今年はエロ封印で、正統派にしてみたんだ」

「え…………?」

なんの説明を受けているのだろう?
怪訝に梅ちゃんを見返した。

「まぁ、正統派の方がエロ度アップかもしれんがな」

本音をゲロりやがった。

「ねぇ……梅ちゃん、先輩が受け取らなかったらどうするの?」

「そこを巧く操るのが、夏帆の腕の見せ所だろ?」

「いや、そんな手腕を見せたくないし、そもそも始めから技量もないし!!知ってるんだよ私。みんな、先輩にニーハイ渡そうとして、ことごとく蹴散らされてるの……。今年は、代表で私が蹴られろと?最悪、嫌われたらどーすんの?」

ちょっと泣きそうになってきた。

「やっぱりムリ!」

「夏帆からのプレゼントなら大丈夫!!先輩は絶対に受けとるし、夏帆を蹴るなんてしない!!」

梅ちゃんの力説に何故か周りの皆さんがうん、うん。と一同に頷く。

「そーだよ!知らないだろうけど先輩は、ああ見えて……。夏帆ちゃん大好き過ぎて脚ばっかり見てるヘンタ……グハッ」

鹿島くんの演説途中で横やりが入った。
文字通り、横から堀先輩の飛び蹴りが……。

「夏帆」

「は、はい!!」

パタリと倒れた鹿島くんを目で追いながら、静かな怒りを含んだ先輩の圧力に、思わず萎縮する。

「鹿島は大丈夫だから、心配するな。それよりも……」

「は、はい?」

「夏帆は、参戦するなよ?」

先輩が、牽制しているのは明らかだった。
ほらー!!こうなることは分かりきっていたのに。

ぐっ……と。ご一行様に視線を戻すと、スッと全員が白々しく視線を逸らしたのだった。

こうして、今年もニーハイ大作戦(梅ちゃん命名)は失敗?未遂?に終わった。

ぞろぞろと肩を落としながら帰って行く面々を先輩と見送って、互いにため息を溢す。

「毎年、大変ですね?先輩……」

「あぁ。毎年ここまではルーティンだ。巻き込んで悪かったと思ってる。」

「まさか、参加しそうになるとは、思ってませんでした」


「なあ、夏帆……」

「はい?」

「今年は、……………………夏帆がお祝いしてくれるんだろ?」

言い淀んだ先輩は、いつになく照れた様子だった。

「ケーキ食べて帰りましょう!先輩」


思わず頬を緩ませながら、私は自分から手を繋いでみせる。

先輩は、思いがけない行動に驚きながらも、クスッと笑い、ぎゅっと指先を絡ませたのだった。



Happy Birthday !!

END


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