名探偵コナン
□今日くらい 甘えてくれたら いいのにな……。
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「降谷さん、あの…」
「うん?」
読みかけの新聞から目を離して、返事をすると、何か言いたげな薄い唇がちょっとだけ開く。
しかし、それは直ぐにキュッと堅く結ばれたようだった。
「どうした?」
もう一度、聞き返すように新聞を置いて問えば
「珈琲、淹れました」
持っていたカップを俺に手渡した。
「あ、あぁ。ありがとう」
お礼を言いながら、本当に言いたいことは別にあるだろ?とは聞かずに、俺も口を閉じて反応を待ってみる。
「………」
受け取った珈琲の香りが鼻先を擽って、目覚めの一口をつけてると、
俺の様子を窺いほんのり頬を染め、僅かに眉を下げキッチンに戻って行った
様子がおかしいのは、一目瞭然。
何を躊躇(ためら)ってるんだ?
ふと、テーブルに置いた新聞の日付けに目を落とす。
それから、確認する様に部屋のカレンダーをチェックすれば、小さな印しがあった。
君なりの、精一杯のアプローチだと確信した。