名探偵コナン

□雪の降る日
1ページ/1ページ


日本列島上空を真冬並みの寒気が南下している影響で、関東地方の平野部でも雪が降った。

気温も関東各地で真冬並みの寒さだ。

もう、4月だというのに…。


「すごいよね!!零くん?先週さくらが満開になったのに、まさか今日は雪なんて……。ダメだ。寒くて、凍えそう」

「とりあえず、炬燵に入ったらどうだ?」

朝から段々と景色は白色に染まり始めて、都内近郊がうっすらと、雪化粧をしていた。

窓の外では、いまだに水気を含んだ重たそうな雪が舞っている。

寒さに震えながら夏帆が帰宅すると、マンションのエントランスで、偶然降谷と一緒になり「珍しいこともあるんだね」と、笑いながら部屋に入った。

今日は、定時退庁出来て良かったと思いつつ、降谷がネクタイを緩めながら一息つくと、

夏帆は天気ニュースを見ながら、すっかり冷えた身体を炬燵に入って暖めている。

「うわぁ。炬燵も寒いよ、零くん…。」

「今、入れたばっかりだろ?もう少し我慢しろよ。夏帆」

寒がりにも程がある。呆れた口調で降谷も炬燵に入ると、

もはや、身体ごとすっぽりと炬燵に潜り込み、首だけ出した状態の夏帆に、降谷は苦笑いを溢し右手を伸ばした。

「鼻が赤くなってる」

「ちょ、いたい!」


冷えた鼻先を降谷の指先が触れた。
と、思ったら…そのままギュッとつままれた。

しかし、その手は思いの外、すごく温かい。

「零くんの手のひら、カイロみたい」

「そうか?」

先ほどまで外気に晒されていた頬を触れられると、じんわりと降谷の熱が伝わる気がしてくる。


そのまま、髪を優しく丁寧に、ゆっくりゆっくりと、何度も撫でられたのだった。

「れーくん。それ、もっとして」

「気に入ったのか……」

「うん」

なんとも心地の良い、降谷の手のひらを存分に堪能する。

こんなにも甘やかされるのなら、季節外れの春の雪も悪くない。

窓の外に映るさくらの花弁に、薄く積もった雪を眺める。

滅多にない綺麗な風景に、幸せを噛みしめてみるのだった。

END


次の章へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ