ハリポタ(短編)
□不意討ちキスじゃ奪えない
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「ねぇ?リーマス見なかった?」
「リーマスなら、談話室でお菓子食べてたよ?」
廊下ですれ違ったクラスメイトにリーマスの居場所を尋ねると、答えはすんなり返ってきた。
「ありがとう」
軽く挨拶を済ませたノエルは、足早に談話室へと戻って行く。勿論、リーマスに文句を言うために。
「リーマスッ!!」
クラスメイトが言ってた通り、リーマスは談話室のソファーに座り、チョコに夢中な様子だ。
「やぁ。ノエル。どうしたの?そんなに怒ってさ」
まぁ、まぁ、食べなよと笑顔でチョコを薦めるリーマスの態度にノエルの怒りが増幅する。
「結構です。それよりも、監督生の仕事をしてよ?さっきの見廻りも私1人でしてきたんですけど?」
「そうだっけ?ごめんごめん。優秀なパートナーがいると、ついね。」
「その皺寄せが、全部私に来てるって知ってた?。」
「本当にごめんって。イライラは身体に良くないよ?ちょっと落ち着きなよ。ね?」
ノエルに睨まれようがどこ吹く風。
それよりも、両頬をぷっくりと栗鼠のように膨らませて怒るノエルが、可愛らしいとリーマスは思ってしまう。
しかし、のらりくらりと交わすリーマスに、ノエルの怒りも頂点に達した。
「そうやって、すぐ話を逸らす!リーマスのそういう所が、本当に大っ嫌い!!」
「僕は好きだけど?ノエルの気の強い所」
「すっ……。好きになられても、……迷惑よ!
大体、なんで、いっつもチョコ食べてんの?」
リーマスのムードも全くない突然の告白。
ノエルがほんの少し動揺し、頬を紅潮させている。
慌てて取り繕った様子をリーマスは見逃していなかった。
「う〜ん。口が寂しい……。から、かな?」
柔らかく笑ったリーマスだが、瞳が笑っていない事などノエルは知らずにいた。
「口が寂しいの?ならその口が寂しくならない様に…てか、一生、開かないように縫いとめ…っ」
「……んっ。!?」
****
「さて、君に僕の口を塞ぐ事が出来るかな?
僕さ、口は塞がれるより、塞ぐ方が好きなんだよ。
あとね。"気の強い君が好き"っていうのも本気だよ。覚えておいてね?」
「…な、な、(何すんの!)」
二の句が継げず放心状態のノエルの耳に、リーマスの言葉が届いたのかは解らない。
ただ1つ言えるのは、
君の心は……。
不意打ちキスじゃ奪えない
(そんなこと、わかってたはずなのに。もしかしたら……って。期待した僕がいる。)
END