月刊少女野崎くん
□戦利品(幼なじみ)
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「夏帆…そんなに、コレが欲しいのか?」
耳元近くで梅ちゃんが、ため息混じりに囁いた
その声が…
耳から直接、脳内を甘く揺さぶって
首筋に掛かる吐息にゾクリと震えた
官能的な振舞いでいて、それとは違う
甘い雰囲気など微塵もないのに
無意識無自覚に、その仕草が出来るのだからこの男、なかなか憎い
「もう、ヤメテ…」
私には、先輩がいるんだから!
「大きな声じゃ言えないと、言ったのは夏帆だろう?小さな声じゃ聞こえんしな…」
程よくしてみたのに、何が不満なんだ?と梅ちゃんが言う
「声量の問題じゃない!内密にって意味だよ…接近しなくてもいいでょ?背後で囁くのはヤメテ!無駄に婀娜っぽいのも嫌!!」
「無駄に婀娜っぽい?」
そのフレーズに反応して、ピタリと梅ちゃんの動きが止まった
「な、何?」
じっ……と、見つめられて何がなんだか訳も分からず、慄いた
「どの辺が"無駄に婀娜っぽい"んだ?詳しく聞かせてくれ」
鉛筆とメモを用意して、正座されても正直困る
「嫌だよ!自分で考えなよ、梅ちゃん!」
本人を目の前にして、ソレを私に言わせるの?
いつもは死んだような眼をしてるくせに、そんな真剣な眼差しを向けられてもやっぱり困った
「じゃあ、こうしよう…意見を聞かせてくれたら、夏帆が喉から手が出るほど欲しいコレをあげよう」
くっ……!そうきたか!!
「狡いよ!それ…」
「どーする?欲しくないのか?」
欲しい…
欲しいに決まってる
「コレ、佐倉にやってもいいんだぞ?」
せせら笑いを浮かべた梅ちゃんの言葉は悪魔の囁きだった
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