月刊少女野崎くん

□可愛くって…だけどХХ
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恋人がサンタクロース

本当はサンタクロース…


夏帆が楽しそうにクリスマスソングを口ずさみながら漫画を読んでいる


師走に入って最初の休日
夏帆の部屋に遊びに来た堀はそろそろクリスマスの予定を立てようと、自分の隣りに座っている上機嫌な彼女に声を掛けた

「なぁ、夏帆…クリスマスは…」

「だが、断る!」

キリっとした顔で即答だった


「まだ、なんも言ってねぇーだろっ」

…なに言ってやがんだコイツ

夏帆が手にしている漫画…

これが原因である

感化され易いその性格の持ち主は、してやったりと生意気な表情を浮かべていた

話し途中を遮られた堀が、カチンとくるのも至極当然


「奇妙な冒険してんじゃねぇーよ」


無邪気に笑った夏帆を自分の方に向かせると、キョトンしている彼女を軽く睨んだ

"冗談ですよー"

言い訳しか出てこなさそうな、その口が開く前に

堀は、素早くその両頬に手を添えて

そのままグイと引っ張った

「ふぃっ!?」


「で?……何を断るってんだ?」


「へんはい、いひゃいれす!」


「言いたかっただけだろ?その台詞…」


「………………ひゃい!」

うろうろと視線を游がして
それから、夏帆は観念したように返事をした


可愛いけど…コイツ馬鹿だ


夏帆の柔らかい頬は程よく伸び、ほんのりとピンク色に染まり上気している

堀は、思わず緩みそうになる口角を引き上げた


「ごめんなさいは?」

「ごへんなひゃい!」

このカップルの主導権はいつも彼の方

「よし!」


掴んだ頬をパッと離してやると

夏帆は然して痛くはない頬を擦りながら


「クリスマスなんて大嫌い!」



その胸にトンと飛び込むと、彼を見上げて、憎まれ口を叩いた



「ほんと、お前…馬鹿だな」



12.05 END
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