月刊少女野崎くん

□勇者 若松
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「堀せんぱーい」

「おー、若松…」

若松が下校途中の堀を見つけて駆け寄った

「ちょっと、聞いてください」

「どうした?」

並んで歩きだした若松の説明に由ると…

まず最初が

鹿島と御子柴で…

次いで

野崎と佐倉…も同日だったらしい

皆、連鎖的に学校を欠席したそうだ

「で、昨日…瀬尾先輩が俺に言ったんです」

…これは、何かの呪いだ…

私にもしものことがあったら…
若、あんたが戦え!…と

「その、瀬尾先輩も今日…学校を休みました…堀先輩!コレってヤバくないですか?俺、何と戦えばいいんですか?」

すがるような瞳で堀を見つめる若松は

さながら、可愛いワンコのようだ
いや、ちょっとお馬鹿なワンコだ

若松に、若干押され気味になりながら一呼吸おいて堀が口を開く

「あのな若松…そりぁー、呪いじゃなくて、ノロだ…季節柄、毎年流行すんだから、心配してもどうにもなんねぇーよ」

「ノロ?…ウィルスですか!!」

「全員、吐き気と腹痛なんだろ…?」

「そうみたいです」

この時代に呪いなんてあるわけねぇーだろ!ハリポタじゃあるまいし

堀が溜め息混じりに全員ノロ!と断言する

「いいか?若松!戦うなら、規則正しい生活を送ることだ、バランスのとれた食事と十分な睡眠」

「はい!」


「と、基本の手洗いうがいは、忘れるな?」

「はい!アドバイスありがとうございます先輩!!」

堀は常識しか語っていないのだが…

9時にローレライ聴いて寝ろと言う堀に9時って、小学生でも寝ませんよ?と返しながら、若松はペコリと頭を下げた


その翌日、若松は復活初日の鹿島と昇降口で会った

一番手で、吐き気と腹痛に苦しめられた鹿島はすっかり良くなり、私は元気になったんだけど…と若松に苦笑いを溢して話しかけた


「堀ちゃん先輩、学校休むってよ…」

まるで桐島が部活を辞めるような口振りで、鹿島がヘラっと笑ったその時

若松の携帯がブルッと震え、堀からメールが届いた

『若松、俺も…ノロわれた』

「堀先輩まで!!てか、何を巧いこと言ってんですか…」


その後、若松がノロわれることはなかった


「逆に、俺だけなんか仲間外れ?いや、ノロわれたいわけじゃないけどさ…」


完全な一人勝ちを収めてしまった彼は

暫く瀬尾に、勇者若松!と…
からかわれたのだった

特に何もしていないのに…


15*01*01

END
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