月刊少女野崎くん

□後の…十三夜(typeB)
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「今日は、お店も混んでますね」


「あぁ、カップルばっかだな…」


「堀先輩?」


「ん?」


「私たちも、カップルですよね?」


「バカか?んなこと聞いてんじゃねぇーよ、アホ」

軽く受け流すと先輩は、コートを脱いで席に着く

「私はバカなんですか?それともアホなんですか?」

そこは、大事!と先輩の後を追いながら…

私も席に着いたのだが、その答えはもらえなかった


今いる場所は、お洒落な和風カフェ

初めてこのお店を訪れたのは

十五夜の日

二度目は

片月見は良くないから、といって

十三夜の日

お月見デートでは毎回、二人で入ったこのお店に、今回もお世話になっている


「夏帆、クリーム白玉ぜんざいでいいんだろ?」


「はい」


「先輩は、今日もみたらし団子なんですね?」

手際よく注文を済ませて、暫くして運ばれてきたお茶とクリーム白玉ぜんざいを、先輩から受け取った



冷えた指先を暖めるように、湯飲み茶碗を持ち

一口つけると、お茶の香りが鼻先を擽った

「甘いものって、人を幸せにな気持ちにしますよね?」


「そうだな、夏帆の場合…色気より、食い気…月見より団子だろ?幸せそうで何よりじゃねぇーか」

満足だろ?と、云わんばかりの先輩の態度にムッとして…

クリーム白玉ぜんざいにパクつきながら、反論を開始する

「そんなこと、ないですよ!今日は後の十三夜って言って、珍しい三回目の名月なんですよ?しかも171年ぶりのミラクルムーン!ちゃんと勉強したんですから!食い気…だけじゃないもんね」

これでどうだ!と得意げに先輩を見つめたら、逆に冷静に見つめ返され、団子の串をお皿に置いた

「んな、口の端にクリームくっつけて、鼻息荒く説明されてもなぁー…」

え!クリーム?
やだ…どこについてんの?
恥ずかしい…

ここ、

先輩は…指で私の口端のクリームを丁寧に掬い取ると…
迷いもなくペロッと指を舐めてみせる

え…

その姿がなんとも艶やかで

エロい!!

なんだか、頭がくらくらする




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